朝日新聞のWEBサイトの健康関連サイト「apital」に、面白い記事が掲載されていた。
記事を書かれているのは、「がんの代替療法を科学する」ことをテーマに研究をされてきた大野智先生(「『嵐』の大野さんとは別人の大野智」です、とご自身の自己紹介をされることもある、ユーモアのセンスたっぷりの先生)だ。
apital:選択のパラドックス 選択肢が増えることは良いことか?
日本人の多くが、「がん」と診断され真っ先に思い浮かぶ治療の一つが、「抗がん剤」による治療だろう。
そしてこの「抗がん剤」に対する、自分の容姿が著しく変わる脱毛や、苦しい嘔吐などのマイナスイメージが、患者を「代替療法」や「民間療法」へと向かわせる要因の一つともなっているのでは?と、感じることが多々ある。
それだけではなく、患者にとって「治療の選択の余地がない」ということも、「代替療法」や「民間療法」へと向かわせる理由となっているのかもしれない。
上述した通り大野先生は、「がん治療」の中でも「代替療法」と呼ばれる、「科学的根拠」が明らかにされていない治療について、研究をされてきている。
だからこそ、「代替療法」や「民間療法」などへ向かいやすい、がん患者の気持ちが良く分かるのでは?と、感じている。
大野先生は、そのような患者さんに対して「良いガイド役」として、この記事を書かれている(と思っている)。
詳しい内容は、紹介の記事を読んでいただくとして、考えなくてはならないのは「人は常に判断をしている」ということだろう。
その「判断」によって、「失敗をした」とか「成功した(あるいは満足)」と感じる。
がん治療の場合、その時々の「失敗(あるいは満足)」が、大きく左右されることも多いのが、現実だ。
今のように様々な情報が氾濫する社会では、「判断をする」ための理由が、感情(というかその時の気分)に左右されることが多くなる。
「選択の自由」はあった方が良いが、「自由があり過ぎても判断に困る」という現実がある、ということになる。
だからだろう、以前から「商品をお客様に勧める時には、3点以内。お勧めする商品が多すぎても、お客様は目移りばかりして、決められない」ということが言われている。
昨年のノーベル賞の経済部門は、「行動経済学」の第一人者であるリチャード・セイラ―教授だった。
そして大野先生の記事は、この「行動経済学」という視点から書かれた内容なのだ(だと感じている)。
医療者だから、行動経済学のことは知らなくても良い、という時代ではない、ということだろう。
もちろん、大野先生ご自身が様々な視点を持ち、勉強家であるということには違いないが、それはどのような領域の仕事であっても同じなのではないだろうか?
好奇心のアンテナは高く張り巡らし、情報をキャッチしながら、専門分野とは違う領域のことも学んでいくことが大切な時代なのだと、大野先生の記事は教えてくれているような気がする。
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