北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

米新型火砲

2005-09-05 14:49:30 | 防衛・安全保障
 陸上自衛隊が使用する99式自走榴弾砲は、本ブログでも写真を扱ったが、砲身の長さ(口径)は一貫して増加を続け、75式自走榴弾砲が30口径であったのがFH-70では39口径、そして99式自走榴弾砲では遂に52口径にも達した。
 ドイツのPHz-2000も52口径で、イギリスのAS-90も39口径から52口径へ換装を計画しており、フランスもその流れに続こうとしている。スイスでは米国製M-109A6自走砲を39口径から52口径に近代化改修する案が出ており、最大射程は30~40kmに達している。
IMG_0117
 各国では特にトランスポーターなどによる輸送の面で長砲身となった自走榴弾砲の運用に苦慮しているようで、99式は砲身を砲塔に格納できる構造を有している。
 こうした中で、米国が開発中のFCS(将来戦闘システム)として開発中の新型自走砲は、38口径という、現用のM-109A6パラディンよりも砲身が短いのが現状である。これは被輸送性を考慮した結果といわれるが、新型砲弾により最大で94kmの射程を実現したという。ATACMS(陸軍戦術ロケット、MLRS発射機を用いる)の射程300kmを考えるならば考えられうる範囲内といえるかもしれないが、やはり野砲の射程としては驚きである。
 かつて第一次大戦中に射程100kmのパリ砲というものをドイツ軍が使用し、パリ市民を大混乱に陥れたが、今回は各部隊に配備される自走榴弾砲として開発されたわけだ。
 アブダビでの試験では、PHz-2000が86kmの最大射程を記録しているが、米軍の場合はミサイルというべき砲弾をもしいて出された記録である。コスト面は大丈夫か、陸自が運用するFH-70のRAP弾で生じているという命中精度の低下などはあるのか、まだまだ不可解な点が多いが、野砲も現行の52口径から62口径に拡張する事は砲身が余りにも長くなりすぎ非現実的であろう。これが米国のように新型砲弾の使用で代替されうるものなのか、また米国の新型砲弾が陸自で使用される155㍉榴弾砲でも使用は可能なのか、興味は尽きず展開を慎重に見守りたい。
 HARUNA

コメント
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