◆護衛艦くらま乗艦、上甲板、艦橋と格納庫一般公開
佐世保基地へと足を運んだ当方、入門手続きを済ませ桟橋を進んだのが特集第一回、第二回目はいよいよ護衛艦くらま乗艦です。
くらま。満載排水量7200t、護衛艦として強力な艦砲と対潜探知装備を有しつつヘリコプター三機を搭載、中央コンピュータにより戦闘情報を集約する護衛艦。護衛艦くらま、ですが、隣に護衛艦ゆうだち。そこで桟橋から一旦ゆうだち艦上を経て、くらま乗艦という流れです。くらま艦橋を見上げつつ、桟橋から乗艦するときには先ず一礼、舷門は護衛艦の玄関ですから、こういった作法は忘れないようにしたいもの。
くらま飛行甲板。海上自衛隊の護衛艦にあって、ヘリコプター搭載護衛艦という艦種は我が国独自のものだと考えています。海上自衛隊は過去に幾度も艦隊航空中枢艦を模索し、その結果完成した護衛艦なのですが、まず日本の予算規模を念頭に即応艦を維持できる数を揃えることに視点を併せた、中枢艦としての護衛艦なのですから。
飛行甲板に護衛艦くらま舷門があり、ここから乗艦しました。ヘリコプター三機を集中運用するヘリコプター搭載護衛艦は、1973年に最初のヘリコプター搭載護衛艦はるな、が就役し、ひえい、とともに二隻体制を構築、その後ヘリコプター搭載護衛艦しらね、二番艦くらま、が就役し、当初は第51護衛隊、第52護衛隊として航空運用を集中し対潜掃討にあてていました。
格納庫を見上げる。ここに三機収まるのですね。HSS-2B対潜ヘリコプターをSH-60J哨戒ヘリコプター、SH-60K哨戒ヘリコプターと機種を更新し今に至ります。ヘリコプターを新型に置き換えるだけで航空対潜哨戒能力を根本的に一新できるというのは、当たり前のことなのだけれども非常に有利なことなのですね。ちなみにHSS-2を搭載できたということは格納庫規模としてMCH-101を搭載することも、出来たりします。
艦上から立神桟橋を望見。くらま、はこの倉島桟橋よりも立神桟橋にいるという印象が強かったのだけれども、佐世保に或る程度頻繁に足を運ぶようになると、この倉島桟橋に停泊していることも相応にあるみたいでした。つか、この一年間で足を運んだ基地の回数は、佐世保、舞鶴、呉、横須賀、の順番、か。一昨年までは舞鶴と横須賀ばかりでした。
127mm単装砲、いわゆる5インチ砲。米軍制式名称はMk42で54口径砲。重量31.75kg砲弾を毎分17~34発の発射速度で射撃でき、初速807.7m/s、射程は22kmに達します。即応弾は40発、発射速度が倍違うのは、もともと連装砲を単装砲としたのがMk42なので装填装置が二系統あり、故障防止のために高速度発射が不要な場合には一系統のみを使っているから。
艦橋が一般開放されていましたので、早速ラッタルを上へ上へ。ちょうど操砲展示が開始される時間でした。ぐるぐる回ります。どのくらいあというと、旋回率40°/sで駆動後1秒少々で真横の目標に指向、俯仰範囲は-15~85°で殆ど真上の目標を射撃可能、俯仰率は25°/s、下手な対空ミサイルを搭載するよりもこちらの方が素早い戦闘が可能、という時代がありました。ちなみにマウント重量は58.6t、かなり重い。
アスロックSUM八連装発射器の操砲展示。海上自衛隊の花形装備として米海軍が開発した直後の時期に導入を開始、投射距離10kmの無誘導ロケットでソナーが発見した潜水艦に対して、これまではその真上まで行って短魚雷を発射するしかなかったのだ、短魚雷を目標潜水艦直上に落下させ目標を撃破する。Mk-46魚雷を運用するものだったのだけれども、海上自衛隊の装備品には国産の魚雷も搭載可能となっています。
艦長席。護衛艦くらま、ですが、しらね型護衛艦は大型コンピュータを標準装備し、対潜対空戦闘情報をデータリンクで集約し脅威評価を行い、戦闘指揮を行うことが可能な護衛艦だったこともあり、護衛隊群旗艦に充てられることが多く、はるな型護衛艦二隻も近代化改修により戦闘情報処理能力を付与され、合計四隻のヘリコプター搭載護衛艦はそのまま護衛隊群旗艦にあてられることとなり、いわば旗艦の艦長、というものです。
艦橋を散策してゆきます。いろいろと興味深いものが並んでいます。蒸気タービン推進艦で、ガスタービン艦が上部構造物の多くを大量の排気用の経路に割かなければならないのと対照的に、戦闘艦として必要な構造を優先できています。しかし、戦闘指揮所CICが上部構造物にあるので、ここに対艦ミサイルが命中することになれば大変なことになるやも。
護衛隊司令が乗艦しているようです。第2護衛隊司令ですね。かつて海上自衛隊は対潜中枢艦としてヘリコプター搭載護衛艦を頂点に艦隊防空に当たるミサイル護衛艦二隻を左右か前後に配置し、その枠内で二個護衛隊五隻の汎用護衛艦が対潜掃討を行うという運用でしたが、現在はヘリコプター搭載護衛艦とミサイル護衛艦に二隻の汎用護衛艦を以て任務に当たる対潜掃討護衛隊と、イージス艦に護衛艦三隻を以て弾道ミサイル防衛にあたる対弾道弾護衛隊に分かれています。
上部構造物を進み格納庫に進みました。三機を収容できる格納庫、となるとやはり大きいです。ここの空間は一機分だけでもコンテナ式の医療施設であれば二階建て方式で収容できるものですので、艦隊旗艦設備も収容できそうなところ。防衛庁時代に災害などの緊急時における最大収容能力を出したことがあるのですが、しらね型は800名収容できるとのこと。
正直なところ、同様の設計になっている、はるな型も練習艦や地上の司令部施設設備が弾道弾や特殊部隊に破壊される状況へ備える直轄艦へ、最適なのではと思ったのだけれども蒸気タービン艦は配管腐食が進めば危険な状態になるので難しい、とのことでした。ところで、イタリアのヘリコプター巡洋艦ヴィットリオベネトは博物館として保存されるそうです。
見学を終えて、くらま、を後にしました。実はこの翌日も一般公開されるのでして、それまでにもう少し別の角度から撮影してみよう、とこの日は早々と艦上見学を終了したのでした。もう少しじっくりとみていたかったのですけれども、この後どういった写真を撮影したのかについては、次回の特集で掲載することとしましょう。
佐世保基地へと足を運んだ当方、入門手続きを済ませ桟橋を進んだのが特集第一回、第二回目はいよいよ護衛艦くらま乗艦です。
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北大路機関:はるな
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