■自衛隊の訓練空域は海上
US-2救難飛行艇航空隊でも増強するというならば理解するのですけれどもね。

U-125救難機の廃止論、なにしろU-125を前提とした航空救難体制が組まれていますので、これが唐突に出された際には混乱しました、現場からUH-60JがあればU-125は不要という論理が出されたならば理解するのですが、例えば救難飛行隊を大幅に増強してもっと分屯基地を整備し現場への進出を早めるとか、そうした代替案が出ている訳でもないのです。

GPS方式のラジオビーコン、U-125救難機廃止検討に際して代替案として挙げられているのは操縦士に新型のビーコンを携帯させる方式とのことですが、これには大きな問題があります、それは日本が航空自衛隊ではなく防空自衛隊だと揶揄した点とも重なるものですが、我が国の航空機事故の多くは、特に戦闘機の事故は大半が海上で発生している点です。

制空戦闘を第一とする航空自衛隊では格闘訓練など戦闘機訓練は海上に訓練空域を設定して実施しているものが多く、対して欧米の空軍やアメリカ海兵隊は相応に空対地訓練を重視しているため、陸地の上空での訓練事故が多いのです。これはラジオビーコンが作動するかぎり救助は容易とおもわれますし、陸上のほうが脱出時での生存性は高くなります。

低体温症、海上での遭難事故が生命に直結する背景としまして、この点が陸地の上空において訓練を行っている状況とは異なる点があります。むろん、例えばアメリカ海兵隊の本州西部における低空訓練飛行のように政府が航空自衛隊戦闘機部隊の訓練空域を陸地上空に設定するならば、U-125のような航空機の必要性は下がるかもしれません。ただ現実は。

航空航路、問題は日本本土上空の過密航空路線を大幅に迂回航路を設定する必要があるとともに、人口密度の高い日本本土では超音速飛行を行った場合のソニックブームによる地上施設、特に窓ガラスなどへの影響が否定できず、とても現実的な案とはいえません、これはいうなれば、演習場にいく燃料費が惜しいので都内で火砲を撃つような代案に近い。

C-130,ただ政府がU-125を廃止し救難機そのものを廃止するものの、アメリカ軍などが戦闘救難任務に用いるようなMC-130特殊作戦航空機に任務を移管するというならば賛成です、例えばC-130輸送機を15機程度、つまり今のままでいえば全部に当りますが、こうした機体を小牧基地と、それから新田原基地と三沢基地へ分遣隊を置くという方式で、です。

KC-130のような機体を大幅に増強し、航空救難が発動した際には即座に離陸し救難ヘリコプターに先行し現地へ展開、必要ならば遭難搭乗員へ機上救難員を落下傘降下させ応急処置にあたり、また場合によっては救難ヘリコプターへ給油支援を行う方式です。ただ、聞く限りでは現状、単にいまのヘリコプターのみに任せるという試案では落第でしょう。

CSAR戦闘捜索救難部隊、しかしU-125救難機を廃止する方針を動かさないのであれば、一歩前進して日本でも本格的なCSAR部隊を創設する方針で進めてみてはどうかとも思います。そう、U-125救難機のような航空機は諸外国には無いという反論があるのでしょうが、CSAR部隊のある米軍や欧州NATO諸国では、捜索救難機などは必要ないのですね。

アメリカ空軍の場合はMC-130J特殊作戦輸送機が救難ヘリコプターを支援します、欧州では30年ほど前までこうした問題は認識されていませんでした、特に欧州の場合はトーネード攻撃機が象徴的な事例ですが、低空侵攻訓練等攻撃機を相応に重視していた為に航空機事故は地上への墜落という頻度が高かった為との背景は有れ、立ち上がりは遅れています。

EAG欧州航空協定、1995年に多国間空軍協定というかたちで西欧NATO諸国の協力枠組が成立し、2002年よりCSAR任務の能力構築を開始しています。この背景となったのは1998年のコソボ紛争を契機としたNATOユーゴ空爆においてCSAR任務の重要性が認識された為なのですが、ヘリコプターとC-130輸送機に戦闘機がその構成要素となりました。

救難ヘリコプター、この他の選択肢としては特殊作戦部隊を大幅に増強し、陸上自衛隊と航空自衛隊のヘリコプターを包括する、イギリスの統合ヘリコプター司令部のような組織を新編し、UH-2多用途ヘリコプターは師団旅団飛行隊専用とし、方面航空部隊にはUH-60を大胆に配備し、洋上での航空機事故に特殊作戦部隊をCSAR任務に充てる等も考える。

UH-60救難ヘリコプターの他にV-22可動翼機を救難部隊として、これは自衛隊が導入するV-22の一部をCV-22とする案もあるといいますので、これを増強するという施策も検討されているならば、これは検討に値すると思うのですが、しかし予算には限りがあります。無論予算が無いからと云って操縦士を使い捨てにしろとは全く考えませんが、U-125,これよりも代替案の方が高くつきそうなのです。それともUS-2をU-125の代替に充てるべく増強でもするつもりなのでしょうか。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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US-2救難飛行艇航空隊でも増強するというならば理解するのですけれどもね。

U-125救難機の廃止論、なにしろU-125を前提とした航空救難体制が組まれていますので、これが唐突に出された際には混乱しました、現場からUH-60JがあればU-125は不要という論理が出されたならば理解するのですが、例えば救難飛行隊を大幅に増強してもっと分屯基地を整備し現場への進出を早めるとか、そうした代替案が出ている訳でもないのです。

GPS方式のラジオビーコン、U-125救難機廃止検討に際して代替案として挙げられているのは操縦士に新型のビーコンを携帯させる方式とのことですが、これには大きな問題があります、それは日本が航空自衛隊ではなく防空自衛隊だと揶揄した点とも重なるものですが、我が国の航空機事故の多くは、特に戦闘機の事故は大半が海上で発生している点です。

制空戦闘を第一とする航空自衛隊では格闘訓練など戦闘機訓練は海上に訓練空域を設定して実施しているものが多く、対して欧米の空軍やアメリカ海兵隊は相応に空対地訓練を重視しているため、陸地の上空での訓練事故が多いのです。これはラジオビーコンが作動するかぎり救助は容易とおもわれますし、陸上のほうが脱出時での生存性は高くなります。

低体温症、海上での遭難事故が生命に直結する背景としまして、この点が陸地の上空において訓練を行っている状況とは異なる点があります。むろん、例えばアメリカ海兵隊の本州西部における低空訓練飛行のように政府が航空自衛隊戦闘機部隊の訓練空域を陸地上空に設定するならば、U-125のような航空機の必要性は下がるかもしれません。ただ現実は。

航空航路、問題は日本本土上空の過密航空路線を大幅に迂回航路を設定する必要があるとともに、人口密度の高い日本本土では超音速飛行を行った場合のソニックブームによる地上施設、特に窓ガラスなどへの影響が否定できず、とても現実的な案とはいえません、これはいうなれば、演習場にいく燃料費が惜しいので都内で火砲を撃つような代案に近い。

C-130,ただ政府がU-125を廃止し救難機そのものを廃止するものの、アメリカ軍などが戦闘救難任務に用いるようなMC-130特殊作戦航空機に任務を移管するというならば賛成です、例えばC-130輸送機を15機程度、つまり今のままでいえば全部に当りますが、こうした機体を小牧基地と、それから新田原基地と三沢基地へ分遣隊を置くという方式で、です。

KC-130のような機体を大幅に増強し、航空救難が発動した際には即座に離陸し救難ヘリコプターに先行し現地へ展開、必要ならば遭難搭乗員へ機上救難員を落下傘降下させ応急処置にあたり、また場合によっては救難ヘリコプターへ給油支援を行う方式です。ただ、聞く限りでは現状、単にいまのヘリコプターのみに任せるという試案では落第でしょう。

CSAR戦闘捜索救難部隊、しかしU-125救難機を廃止する方針を動かさないのであれば、一歩前進して日本でも本格的なCSAR部隊を創設する方針で進めてみてはどうかとも思います。そう、U-125救難機のような航空機は諸外国には無いという反論があるのでしょうが、CSAR部隊のある米軍や欧州NATO諸国では、捜索救難機などは必要ないのですね。

アメリカ空軍の場合はMC-130J特殊作戦輸送機が救難ヘリコプターを支援します、欧州では30年ほど前までこうした問題は認識されていませんでした、特に欧州の場合はトーネード攻撃機が象徴的な事例ですが、低空侵攻訓練等攻撃機を相応に重視していた為に航空機事故は地上への墜落という頻度が高かった為との背景は有れ、立ち上がりは遅れています。

EAG欧州航空協定、1995年に多国間空軍協定というかたちで西欧NATO諸国の協力枠組が成立し、2002年よりCSAR任務の能力構築を開始しています。この背景となったのは1998年のコソボ紛争を契機としたNATOユーゴ空爆においてCSAR任務の重要性が認識された為なのですが、ヘリコプターとC-130輸送機に戦闘機がその構成要素となりました。

救難ヘリコプター、この他の選択肢としては特殊作戦部隊を大幅に増強し、陸上自衛隊と航空自衛隊のヘリコプターを包括する、イギリスの統合ヘリコプター司令部のような組織を新編し、UH-2多用途ヘリコプターは師団旅団飛行隊専用とし、方面航空部隊にはUH-60を大胆に配備し、洋上での航空機事故に特殊作戦部隊をCSAR任務に充てる等も考える。

UH-60救難ヘリコプターの他にV-22可動翼機を救難部隊として、これは自衛隊が導入するV-22の一部をCV-22とする案もあるといいますので、これを増強するという施策も検討されているならば、これは検討に値すると思うのですが、しかし予算には限りがあります。無論予算が無いからと云って操縦士を使い捨てにしろとは全く考えませんが、U-125,これよりも代替案の方が高くつきそうなのです。それともUS-2をU-125の代替に充てるべく増強でもするつもりなのでしょうか。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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