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参院選2022:防衛力は削減すべきなのか-立て直しが必要な防衛力,防衛予算を現在のままとする事の意味

2022-07-07 20:00:49 | 国際・政治
■防衛費増額の政治論争
 参院選の議論となる防衛費について。いまは厳しいのでこの一年だけ我慢して頑張ってくれ、こう云われて厳しい境遇に耐える方は多いでしょうが我慢を1990年代から続けていたらどうでしょうか。

 防衛予算、実のところ、小泉政権時代から、任務は増大するが予算と人員はそのまま、この姿勢が堅持された事が大きな歪を生んでいる為、任務を減らすか、予算と人員を増やすか、この二者一択となります。小泉政権時代から増大した任務は、弾道ミサイル防衛、邦人救出任務、国際平和維持活動支援任務、海賊対処任務、島嶼部防衛任務、などなど。

 小泉政権時代には財政再建が大きな課題でしたので、今ある防衛力をスクラップ&ビルドにより対応するという施策が採られていましたが、ミサイル防衛だけでも毎年千数百億を必要とする施策、邦人救出も行えと自衛隊法改正の上で要請されますと不可能とは言えませんが、その為の輸送機増強は認められず、いや逆に機数は大型化の代償に削減された。

 海賊対処任務も、常に護衛艦をアフリカ沖に派遣するという事は、その為の交代要員の要請と片道数週間の護衛艦の回航という施策を行いつつ、忘れてはならないのは護衛艦は冷戦時代よりも数を減らされている中、南西諸島での中国艦艇行動増大を背景に護衛艦の任務は増大するばかりで、募集広報に必要な展示訓練さえ行えない程に負担が掛かっている。

 島嶼部防衛も、沖縄返還当時の1972年に陸上自衛隊は舟艇中隊を含む空中機動旅団の新編を検討しましたが予算上断念されました、それを急に中国脅威が増大したと前から指摘した事を逆手に予算をそのままに島嶼部防衛として新編部隊を幾つも、全体の人員はそのままに創設するのですから、全国の師団はかつての混成団を強化した程度の人員まで減った。

 現状建て直しが必要なのです。予算は様々なしわ寄せを生み、気づけば観測ヘリコプターは全廃、目視の範囲内で飛行させる小型無人機は増えましたが、隣の都道府県まで飛行できる機体を隣の町内へ飛行させるのも難しい機体で置換える事は出来ません、いや、陸上自衛隊のヘリコプターで充分配備されているのはCH-47くらい、全般的に部隊の定数割れを定数削減で誤魔化している。

 防衛産業は小渕政権時代であれば、戦車は毎年数十輌で戦闘機は十数機にヘリコプターも全体で数十機、護衛艦と掃海艇と輸送艦に潜水艦も毎年合計で十隻にはいかないが、それに近い数が建造さえていたものが、戦車は要求の無い年度、戦闘機は若干機、ヘリコプターも若干機から精々十数機という状況になり、撤退が相次ぎ、稼働率に影響しています。

 民間企業で考えて欲しいのは、年単位で受注零の部署を十年単位で維持する事は現実なのか、ということ。甘えるなそれくらい当たり前だわたしの会社も何年も工員共々何もやっていない工場は山ほどある、という反論はまさかないでしょう。海外製装備を輸入する選択肢はあるのですが、費用は国産より相当割高なのか“防衛情報”記事をみれば分ります。

 任務を減らす、しかし難しい、邦人救出を警察庁に移管して警察庁がC-130輸送機と特別車両機動隊に軽戦車隊を新設する訳にも参りませんし、ミサイル防衛を断念してスイスの様に新築住宅に核シェルター建設の為の数千万円を義務化する訳にも参りません、島嶼部防衛も沖縄返還から例えばアメリカ占領に戻すなんていう戯言は考えもしないでしょう。

 東日本大震災で活躍したRF-4偵察機は全廃され後継機も無い、巨大災害は懸念されるもののヘリコプターの数は耐用年数限界で減るばかり、戦車も火砲もどんどん削減され、新設部隊が出来れば他の部隊から装甲車を引抜き、たらいまわしの常態、戦闘機は1980年採用の機種が数の上で主力ですし、本州の戦車は大半が1970年代の設計です、これを踏まえて、今の予算で大丈夫なのか、万一の際に国民が犠牲を強いられる問題として、考えて欲しい。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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