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ドネツク州スラビャンスクへロシア軍迫る,動き始めたロシア軍電子戦とウクライナ軍民生無人機作戦利用の限界

2022-07-07 07:00:53 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ロシア軍の侵攻速度が高まっておりドネツ川沿いに要衝クラマトルスクへ向かっているようです、そしてその手前のスラビャンスクが現在の焦点だ。

 ウクライナの戦況は、一歩間違えれば北海道で具現化していた状況であり、年末にも確定される我が国の国家安全保障戦略とともに、自衛隊では削り続けている特科火砲や機甲戦力、そしてウクライナの現状で死活的に重要な防空制圧能力や対電子戦能力などの強化を、真剣に取り組む必要があります。そしてこの数日間、ウクライナでは顕著な動きがあった。

 ウクライナ軍のドローン映像発表頻度が低下している、ウクライナ東部戦線において現在、緒戦の頃に発表され士気を鼓舞する様な無人機からの画像が、皆無ではないのですが発表される頻度が低下しています、これはロシア軍の電子妨害装置による無人航空機運用環境の悪化が背景に在るのかもしれません。有人機の少ないウクライナ軍は困難に直面する。

 1L269クラスハ電子妨害装置、大型トラックに車載され広範囲の電子妨害を行う電子妨害装置を今回ロシア軍はウクライナに派遣しています、派遣している根拠は3月にキエフ北方において放棄された車輛がウクライナ軍に鹵獲された為なのですが、もっとも普及している民生型ドローン、対妨害構造でない民生無人機には致命的な影響を及ぼしかねません。

 ロシア軍はソ連時代から電子戦能力を重視してきました、2014年のドンバス紛争では電子攻撃を効果的に用いた為、何故緒戦でロシア軍が大規模電子妨害を加えなかったのかは未知数で、一説にはロシア軍の無線機不足から自軍の民生無線機利用の為とも、一説にはここまでウクライナ軍とウクライナ国民の激しい抵抗を予見できなかったともいわれますが。

 無論対策はあります、スイッチブレード無人機を始め米軍供与兵器は逆にこの種の電子妨害装置を攻撃する用途にも用いられます、ただ課題はウクライナ軍予備役兵始め、馴染みの薄いNATO規格装備よりも使い慣れた民生機を多用する場合があるといい、ロシア軍の電子戦本格化に対して、ウクライナ軍も次の手を講じる必要が、出ていると云えましょう。

 スラビャンスクへの砲撃激化、ウクライナ東部ドネツク州のスラビャンスク市長は5日、SNSを通じ、市街地へ大規模な砲撃が継続的に加えられているとし、避難勧告を発しました。ロシア軍のドネツク州攻撃が本格化したのです。スラビャンスクはドネツ川支流河畔にありドネツク州の州都クラマトルスクの北方に位置し、M03高速道路で結ばれています。

 セヴェロドネツクとリシチャンシクを陥落させルガンスク州全域を占領下に置いたロシア軍ですが両市の中間にはドネツ川があり、両市の占領はドネツ川渡河点の確保を意味すると共にドネツ川支流に沿ってスラビャンスクへ攻撃を強化している状況です。まだウクライナ軍は抵抗を続けていますが、ここからクラマトルスクまで地形障害は多くありません。

 ウクライナ政府は、必要な装備さえそろえば戦況の挽回は可能だとしていますが、M-109自走榴弾砲やMLRS多連装ロケットシステムの供与が表明されているものの、なかなか引き渡され訓練された要員と共に第一線へは届くに至っていません。そして砲撃とともにロシア軍は6日の時点でスラビャンスクから16kmの地点まで地上部隊を前進させています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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