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【防衛情報】AH-6リトルバード後継機と水上飛行機型MC-130J輸送機,SEALs海軍潜水艦配備遅延苦慮とCCM特殊作戦舟艇

2024-06-25 20:13:59 | 先端軍事テクノロジー
■防衛フォーラム
 アメリカ軍特殊部隊に関する最新情報をまとめたのですが情勢変化と既存装備の老朽化に苦慮しているのが良くわかります。

 アメリカ特殊作戦軍はAH-6リトルバード後継機に苦慮しているとのこと。AH-6リトルバードはOH-6観測ヘリコプターの機体を特殊作戦支援用に改修したもので、MC-130H特殊作戦輸送機などの機内に搭載し最前線基地において即座に輸送機から展開させローターを組み立てて飛行させるなど手軽な展開能力が重宝されていましたが老朽化も進む。

 FARA将来攻撃偵察航空機、陸軍は最近複合ヘリコプターを将来偵察ヘリコプターとして後継機に充てる構想を中止していますが、これによりAH-6後継機構想にも影響が及ぶこととなりました、これはFARAをそのまま特殊作戦用に用いるというのではなく、FARAは高速巡航が可能でありAH-6後継機にも高速巡航性能が求められていたのです。

 MH-60M特殊作戦ヘリコプターも、同様に低い巡航速度からFARA配備後はその速度が随伴できず陸軍航空作戦体系を低下させる懸念がありましたが、FARA中止後は少なくとも2050年代以降まで運用継続の見通しとなっています。AH-6は第160特殊作戦航空連隊が独自に改造したもので、現在は電動航空機などを後継として模索しているもよう。■

 アメリカ特殊作戦軍は水上飛行機型MC-130J輸送機の開発を中止しました、空軍特殊作戦軍が2021年に構想したもので2022年にその計画について試作機開発を発表していました、しかしこれが5月7日の特殊作戦定例会議において計画責任者のジャスティンブロンダー空軍大佐により計画が中止されたと発表、その理由は予算不足だとしています。

 水上飛行機型MC-130J輸送機については国防御総省概算要求において計画試作機開発に1150万ドルを要求していましたが予算不足から一時的に停止されたとのこと。1150万ドルという金額は非常に過小にみえるのですが、この計画はC-130J輸送機にそのまま二つの巨大なフロートを装着し水上機化するという力業で改造が想定されていました。

 水上飛行機型MC-130J輸送機の意義について空軍のジムスリーフ大将は2022年、記者会見において島嶼部など敵対勢力が想定できない地域に特殊部隊の装備品などを搬入できるとし、また空軍によるミサイルの落下傘による空輸なども水上航空機により両立化できいるとしていて、またMC-130Jは空中給油機であることも強調していました。■

 アメリカ海軍のSEALsはCCM特殊作戦舟艇への徘徊式弾薬搭載を検討しています。CCM特殊作戦舟艇はアメリカのヴィゴール社が製造するコンバタントクラフトミディアム1型で全長は18.47mと全備排水量は29.8tのステルス設計を採用した舟艇で、特筆すべきは2500hpのMTU社製エンジンにより52ノットの高速航行が可能であること。

 CCM特殊作戦舟艇は乗員が4名ですが特殊部隊輸送用の多目的区画があり19名の特殊部隊員か4.5tまでの装備品などを搭載が可能です。もともと輸送能力として人員のほかに小型舟艇を搭載するか沿岸部まで輸送する車両の搭載用でしたが、シールズではこの多目的区画にスタンドオフ攻撃装備か徘徊式弾薬を搭載することを計画しているもよう。

 CCM特殊作戦舟艇への徘徊式弾薬搭載は特殊部隊の沿岸攻撃能力を強化するとともに、沿岸部の作戦に加えて水上作戦において敵体制色の艦艇に対する限定的な攻撃能力付与を意味します。海軍ではこのほか、取締任務などに用いる小型複合艇を特殊作戦支援用に無人化し、最大で一か月程度の哨戒任務に充てる無人艇計画も推進中となっています。■

 アメリカ海軍のSEALsは海軍の潜水艦配備遅延に苦慮しています。SEALsはオハイオ級戦略ミサイル原潜の改造型に甲板型シェルターを搭載し長距離任務に臨んできました、甲板型シェルターはオハイオ級原潜の長大なミサイルサイロが並ぶ後部甲板上に設置され、此処には必うような機材一式を収容しSEAL輸送潜水艇も接続できていました。

 甲板型シェルターは、海軍には5基が配備されているものの老朽化が進んでおり、特に老朽化が進んでいるものは半世紀近くにわたり運用されているということ。しかしオハイオ級潜水艦は老朽化とともに退役が進んでおり、また新しいSEALs輸送艇母艦にヴァージニア級攻撃型原潜を搭載する代替手段が進められていますがここにも問題が生じます。

 ヴァージニア級攻撃型原潜は現在建造が遅延しており、また建造費と資材費用と人件費が同時に高騰するアメリカ国内のインフレにより現在ヴァージニア級攻撃型原潜は建造費が邦貨換算で1兆円を超えてしまいました。このため海軍では特殊部隊輸送用にイギリス海軍やノルウェー海軍と共に新しい長距離輸送手段の検討を開始したとのことでした。

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