石屋のカミさん日記

仕事に趣味に 好奇心の赴くまま楽しいこと追求します!

裁縫師 小池昌代

2007-09-11 23:46:56 | Weblog
午後6時半に外に出ると もうあたりが薄暗くて涼しい
あんなにがんがんと暑かった夏は もう完全に終わって
秋の気配に 心がじーんと淋しくなってしまいます。

1冊の短編小説集に出逢いました。

本との出逢いも また縁であると思う。
数え切れない無数の本 
出合えない世界もいっぱいある。
小さいときから読書が大好きで 結構本を読んでいる私でも
読んだことのない作家の本は 数限りない。
死ぬまでに読める本に 限りがあるなかで
心を惹かれる作家との出逢いは 縁があったとしか
言いようがない



図書館で ふっと手にとった短編集
小池昌代「裁縫師」
もともと私は 短編小説というものは
特別でないかぎり 読まない。
阿刀田高・村上春樹・安部公房・ロアルド・ダールくらいかな

なぜかというと短編小説で面白いと思う小説って少ないから。
本当に筆力が なければ人の心を短い文章で
ぐっと惹きつけるのは到底無理だから。
そんな私が 何故、小池昌代さんの本を手にとったかというと
彼女、第33回川端康成文学賞を 受賞した作家だから。
川端康成文学賞っていうと その年度、もっとも
完成度の高い短編小説に与えられる賞

そのタイトル「裁縫師」にも なんだか惹かれた

全部で5編の小説、全てが素晴らしかったです
どの小説も 夢と現実の狭間を散歩しているような不思議な世界。
美しく、詩情あふれる表現とウラハラに
全体に流れるとってもエロティックな雰囲気
今までにない新感覚の小説だった。
よく吟味された ひとつひとつの言葉・文章
心を高揚させる技術もすごくて まさに珠玉の小説集でした。

内容が素晴らしいというのではなく
文字と言葉を使った 芸術品・・という感じがした。

この方の エッセイ集を今度 読んでみようと思う

「裁縫師」、もし読まれる方がおられたら
その中の「左腕」という小説、オススメです
夢のなかを彷徨うような 不思議な小説です
コメント
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