リスペクト(事例紹介)コラムです。
当ブログでは前々から、将来的にはサッカー界もビデオ判定が必要と書いてきましたが、5月にJ3で追加副審初導入されたというニュースが流れました。今回はビデオ判定ではなく、前から名前が挙がっている追加副審ですが、どうだったのでしょうか。以下、抜粋して紹介。
【J3初の追加副審:日刊スポーツ】
J1チャンピオンシップなどで導入が決まっている追加副審が5月22日に開催された、J3のG大阪U-23対相模原戦(万博)で初めて試験導入。ペナルティーエリア内の反則やゴール判定を補助するためで、両ゴール付近に1人ずつ配置。主審の死角を補うことで正確な判定につながることが期待。この試合では微妙な場面はなかったが、審判が選手らとどのような意思疎通を図っていたか聞いていたという小川佳実審判委員長は「CKやFKの時に選手に声掛けをしていた。1、2回したら選手は無駄な引っ張り合いや押し合いをやらなくなった。いるだけで効果がある」と説明。微妙な判定以外の効果も実感したとか。
その場にいた選手は「入ったのか入ってないのかという場面にレフェリーがいてくれるとサッカーがしやすい」「今まで見えてなかった所でジャッジしてもらえることでゴールも生まれやすく、守備もしやすくなり、プレーのスムーズになる。プレーの質が上がり、余計なファウルが減ると思う」との声。
日刊スポーツ該当記事:http://www.nikkansports.com/soccer/news/1651598.html
これから続々と追加副審が登場するシーンが増えてくるでしょう。そのうちJ2のCスタの試合や、どこかで連れて行かれた黄色い試合で、あれっゴール横に別の審判がいる。そうか、あれが噂の追加副審かという日が遠からず来るでしょう。以下はその概要です。
【欧州での追加副審】
'08年にU-19欧州選手権の予選で初めて試験導入。その後、'09-10年シーズン欧州リーグで1次リーグ全144試合、さらに決勝トーナメントでも試験的に導入。'12年の国際サッカー評議会(IFAB)での決定により、ゴールラインテクノロジーが採用されるのと同時に、追加副審制度も正式採用。以降、UEFA主催の欧州CLや欧州選手権などで継続的に導入。
【追加副審とは】
・任務: 主審が試合をコントロールするのを援助。主審の要請や指示により、フィールドや用具の点検など試合運営にかかわる事柄について援助。
・試合中の位置: ポジションはゴールライン後方の約11mの間に位置し、特別な場合を除きフィールドには入れず。
・ゴールキック時: ボールがゴールエリア内にあるかチェック。正しく置かれていない場合は主審に告知。
・PK時: ゴールラインとゴールエリアの交点に位置。
・PK戦時: ゴールの左右のゴールラインとゴールエリアの各交点に位置。ゴールポストの間とクロスバーの下で、ボールの全体がゴールラインを越えたかどうか、主審に合図。
5月のJ3の試合を皮切りに、当ブログが大反対しているチャンピオンシップなどでも導入。ゴールラインテクノロジーやビデオ判定も含め、どのシステムが一番いいのか検証されるそうです。ただ、追加副審は人員確保の問題もあって、来シーズン以降は未定だとか。当ブログでは何度も言いますが、ビデオ判定だと思っています。そんな中、村井チェアマンが日経新聞でビデオ判定も含めたコラムを書いています。以下、抜粋して紹介。
【Jリーグが変わる? 判定の精度あげる追加副審」:日経新聞】
Jリーグは5月からJ3の毎節1試合で追加副審を試験導入。得点の有無、ペナルティーエリア内での判定の精度アップを図るもので、両サイドのゴールライン後方に追加副審が1人ずつ立ち、主審をサポート。
〔審判団6人、欧州CLで導入済み〕
'09~10年シーズンの欧州リーグなどでのテストを経て、国際サッカー評議会(IFAB)は'12年に追加副審を導入。欧州チャンピオンズリーグ(CL)が採用しており、追加副審を置くと審判団は6人体制。Jリーグでは昨シーズンに誤審が相次いだため、判定の向上のために協力していこうという気運が発生。
〔J3のテスト経て天皇杯決勝でも採用〕
CKの際の小競り合いには追加副審が目を光らせる結果、主審はボール周辺のプレーに集中。得点の有無は追加副審が判定し、副審はオフサイドかどうかに集中することにより、判定の精度は向上。5月22日のJ3の試合では追加副審の出番は無かったが、追加副審を置いたことで監視の目が増え、それが選手へのけん制になったのかもしれない。審判を欺くような小ざかしいプレーの予防につながるのだとしたら、追加副審導入のメリットは大。
J3でのテストを経て、ナビスコ杯の準決勝、決勝、J1チャンピオンシップ(CS)、天皇杯の準決勝、決勝で導入予定。
〔映像をチェックする副審も試験運用〕
試合中に映像でプレーをチェックする副審であるビデオ副審の2年間の試験運用を認められ、試合を決定づける判定である「得点、PK、退場、警告・退場を出した相手の誤り」について主審に勧告。ただし、テニスやアメフトのように、選手・監督が審判に映像による判定のチェックを要請は不可。反則に当たる行為があったからといって、主審がすべて笛を吹いてプレーを止めるべきではないため。反則を受けた選手に立ち上がってプレーを続行する意志があるなら、そのまま流すのが筋であり、それがサッカーの本質。
主審は選手のその意志を読み取る必要があり、ボールがゴールラインを割ったかどうかは機械的に行われていいが、プレーを止めてFKを与えるべきではない。すべてが機械的になるとサッカーの面白みが薄れてしまうため。
ビデオ判定に関しても、選手の意志を読み取り、尊重したものにしないと、試合をうまくオーガナイズできない。映像がすべてという機械的な判定に特化すべきでなく、テクノロジーに頼った判定方法を優先すると、審判の技量が向上しにくくなるのではないかという懸念も。
〔厳しい環境で求められる満点の判定〕
判定の精度アップのためには、個々の技量に委ねるのではなく、制度そのものを強固にしていくことが必要。そのための追加副審、ビデオ副審の導入であり、審判団が補い合って判定の精度を上げていこうという流れ。おそらくビデオ副審の導入も、選手のあざむくプレーの予防になり、サッカーにとって大きなプラスになると締めくくっています。
日経新聞該当記事:http://www.nikkei.com/article/DGXMZO02943670Q6A530C1000000/
という感じでした。さすが村井チェアマン。広い視野でいいと思います。とにかく、世界一人気のあるサッカーというスポーツで世紀の誤審が起こる事だけは避けて欲しいのです。テニスやバレー、ラグビーという他の国際試合を見るたびに、どうしてサッカーは・・・とため息が出ます。変な歴史やプライドは捨てて、判定の精度を高めて欲しいです。サッカーのお偉いさんはぜひ、ビデオ判定を導入している他のスポーツ試合を観て欲しいです。そういえば大相撲も「物言い」はビデオ判定ですから。と言ってもFIFAが変わらなければ前に行かない話ですね。