CLASS3103 三十三組

しがない個人ホームページ管理人の日記です。

【読書】魔女の笑窪

2019-06-25 21:31:09 | 読書感想文とか読み物レビウー
魔女の笑窪  作:大沢 在昌

久しぶりに次へ次へと読みたくなる小説でした
短編連作といったつくりなんだけども、
ある謎の非合法組織というか、隠れ里というか、いまどきそんなといった感じの
アングラ遊郭から逃げ出してきた女が、
その過去に、追っ手に追いつかれてしまうといったサスペンス的な内容
序盤は女を使った裏稼業のコンサルティングをしているという
これもまた、インモラルに触れる危ない人たちのオンパレードで
殺すや、殺されるやが楽しいのだけども、
だんだんと、主人公の謎が明かされてくるに従って
迫ってくる恐怖というかプレッシャーが凄くて
ついつい次はどうなると読みふけってしまった

キャラクタと雰囲気を楽しめたら
もう小説として勝ちだなと、物凄く気に入って読んだのでありますが、
設定が九州天草というあたりも面白くて、
作者の出身考えてみると、その島は、三重県にあるんじゃないかなどと
いらんことを想像したりと楽しかったのだけども
地獄のほうがましという言葉だけが何度も出てくる
その場所の恐ろしさが、主人公のタフさを見せたあとに、
主人公が考えるだけで吐き気を催す、というか、本当に吐瀉してしまうという
結構衝撃的な描写が凄くて、なんというかな、
なんかしらんが、ともかく面白かったというか
目が離せなかったのでありました

基本的には台詞劇のようでもあるし、
かなり危ない橋を渡っていく感覚が楽しくもあって、
強いんだけども、なんか危なっかしいというか、
その強さが不安定なところが魅力的で
ずいずいと引き込まれてしまうのでありました

男女の機微も面白いし、
生死のかかったやりとりが、必要以上に軽い印象なのも
実によくできていて、せつな的に生きている様子が
小説の面白さに拍車をかけていたというか
読んでいて、とても興味をそそられたのでありました
仕事が速いというのも読んでいて、飽きないところなのかもしれない

ともかく、なんかしらんがえらい気に入って読んだ
面白い小説だったと記しておくのであります
実際はハードボイルドアクションといった感じで、
そんな難しいなんとかがどうした、なんて説教も暗喩も何も見えないのが
またいい小説だったと思えるところであります