「日光浴ノート番外編の更に番外編」
ひとつ前の記事「大蛇とムカデの闘い」は「戦場ヶ原」の名前の由来です。
でも私、その由来を読んでいて「大蛇・大ムカデ・弓」と言うキイワードに、おやっと首を傾げてしまったのです。
このキイワードなら、もう一つ別の物語を連想しませんか。
「連想しませんか」などと普通に書いてしまいましたが、この話が「桃太郎」ほど有名なお話とは思われませんので、「さあ」という反応がほとんどなのかも知れませんね。
「大蛇に化けた竜・大ムカデ・弓・唾」ならどうでしょうか。
更に
「大蛇に化けた竜・大ムカデ・弓・唾・俵藤太」では?
ここまで来ると、昔話や民話好きな方には、ああ、あの話かってお分かりになると思います。
滋賀県の民話で「俵藤太のムカデ退治」のお話です。
竜王の娘が瀬田の唐橋の上で大蛇に化けて俵藤太の肝を試し、それに動じなかった彼に琵琶湖を荒らす大ムカデ退治を頼むと言うお話です。
現れたムカデに藤太が矢を1本2本と放っても矢は固い顔面から弾き飛ばされてしまいます。そして矢は最後の1本になってしまいました。その時藤太はムカデが人間の唾に弱い事を思い出し、矢の先に唾を塗り念を込めて射ると、矢はムカデの眉間を貫き見事に退治することが出来たのでした。もちろんその後、藤太にはいろいろと良い事がありました。めでたしめでたし。
〈ちゃんとしたお話の内容は下の方にリンクしておきますね。〉
私は子供の頃から、この昔話が大好き。
特に三本目の矢の先に唾をつけるくだりが一番好きです。
昔はよくちょっとした怪我などをすると、おばあちゃんなどは唾をつけとけと言いました。
唾には消毒と治す力があると言うのです。
今思うと、口の中の雑菌が傷口にとっていいのか不安ですし、逆にペロって舐めて、傷口の菌が口に入ってしまうのではとやはり不安に思います。
だけど昔はそうは言いませんでした。だいたい動物などは怪我をすると舐めて治そうとしますし、唾には何か力があるように感じていました。
そしてこの俵藤太のお話は、それに説得力を持たせるもののような気がしたのです。
子供心におばあちゃんの言ってることは本当だったんだなと思いました。
それから人間の唾を嫌うと言うムカデと言う所で、それを結構真に受けた私は、今度ムカデを見かけたらペッと唾を吐きかけてやろうと思ったのでした。
その結果がどうであったのかは、全く記憶にありません。
記憶にないと言う事は、良からぬ事を考えていたからムカデを見かけなくなった、もしくは見かけてもやっぱり虫に唾を吐くと言う行為が恐ろしくてできなかったのだと思います。
話を元の「戦場ヶ原」の名前の由来から、この「俵藤太のムカデ退治」の話を連想したと言う所に戻します。
片方は栃木県、片方は滋賀県の民話。
と、言うことはこのようなお話は、あちらこちらに点在しているのでしょうかー。
この俵藤太と言う人は、本当は藤原秀郷と言って平将門を討った人なんです。だからこの大ムカデは将門を事を指すと言う説もありますが、強い将門の弱点を、この大ムカデを討ったお礼に竜が教えてくれると言うお話もあるようで、興味のある方はさらに調べてみるのも面白いと思います。
そして私ももう少しちゃんと知りたいと思って、民話の続きの方ではなく、この藤原秀郷と言う方を検索しました。と言っても、また結局はwikipediaにたどり着くことになっているのですが。
そこでこの人が下野国の土豪である事が分かりました。
えっ、じゃあ・・・・・・
もしかして・・・・
ドキドキ・・・。
と言うのは、下野国と言うのは、現在の栃木県の事を言うのです。
そして更にこのページを読み進めていくと・・・・・・
やっだー、もう、ウィキ様ったら~っていきなり擬人化^^
だってですね、書いてありましたよ。
「秀郷の本拠地である下野国には、日光山と赤城山の神戦の中で大百足に姿を変えた赤城山の神を猿丸大夫(または猟師の磐次・磐三郎)が討つという話があり(この折の戦場から「日光戦場ヶ原」の名が残るという伝説)、これが秀郷に結びつけられたものと考えられる。」
と言う事は、私が子供の時から大好きだった昔話、「俵藤太のムカデ退治」のお話は、戦場ヶ原の伝説から生まれた事になるわけで、私が「戦場ヶ原の由来」を読んで、「おやっ」と感じたのは自然の流れだったように思います。
ところでこの絵
藤太が矢を射る図なんですが、彼は三本しか矢を持っていなかったのでは?
細かい事が気になるのが、私の悪い癖なの ^^:
「俵藤太のムカデ退治」のちゃんとした昔話は→ こちら
※ 昨日〈17日〉に流山の赤城神社の事を書いたのですが、後でその広報誌をネットで読んでいたら、その神社の例大祭が17日と18日でした。何というか不思議なタイミングじゃないですか。
私は神社信仰は持っていないのですが、流山の名前の由来はここからかと思ったら趣が深いものを感じました。