お正月に録画したものをゆっくり見てきました。
その中の一つに、AXNミステリーで8話いっき放送だった「薔薇の名前」がありました。
これ、どこかで聞いたことがあるなぁと思っていたら、ショーン・コネリー主演の映画があったのですね。しかし1986年と古い映画で、この頃子育て真っ最中だったがゆえに、一番映画の知識に乏しい時代です。
「薔薇の名前」はウンベルト・コーエが1980年に発表した作品で、5500万部も売れた世界的なベストセラーなんですね。
今あれやこれやと検索していたら、全8話のあらすじから登場人物まで載せてくれている個人の方のサイトもあるので、ご興味のある方は「ドラマ『薔薇の名前』」で検索してみてくださいね。
今は放送予定がないみたいなのですが、いつかまた見られる機会があるかもしれません。
お勧めできる、とっても味わい深い作品でした。
物語は14世紀、アヴィニョン教皇庁の時代。
これは基本的には、修道院に起きた連続殺人事件の真相に迫っていくサスペンスなんです。
フランシスコ会修道士バスカヴィルのウィリアムとベネディクト会見習修道士メルクのアドソがその謎に迫っていきます。
これ、上の一行でも、そうとうの知欲の枝葉が茂っていると思いませんか。例えば「フランシスコ会」「バスカヴィル」「ベネディクト会」「メルク」などを知ろうとすれば、いくらでも知識を広げていく事が出来ると思います。
もちろん知ろうとすればです。知らないままでも何の問題もありません。ただこの物語は、知っていた方がもっと面白いかも知れないと思えることがたくさんあったように思います。
私も後から「メルク修道院」にたどり着いて、思わず「おお」と思ったのです。まあ、いつも大まかな所はウィキペディア頼みなのですが、それでもそこを読むと、まるでこの物語の後日譚が勝手に妄想として浮かび、なんだかそれが辻褄が合うのですよ。
そして・・・・長々と打つのが面倒になったので・・・コラッ !!
『主人公アドソとその師ウィリアムの関係は、あくまで探偵小説にあらわれる探偵とその助手(シャーロック・ホームズとワトソン博士など)という定式のフォーマットを踏んでいる。助手であるアドソのイタリア語での発音がワトソンに似ていたり、また、ウィリアムの出身地がバスカヴィルであることから『バスカヴィル家の犬』が連想される等の例にあるように、この作品は無数の書物の記述への言及と参照、オマージュが散りばめられている。』ウィキペディア「薔薇の名前」より
因みに「バスカヴィルの犬」って、完全映像化されたことがないそうですよ。意外とシャーロック・ホームズのお話を文字で辿った事がないので、この本を読んでみたいような気持ちになりました。
サスペンス部分だけ見れば、「相棒」クラスタの皆さんだと、意外と分かってしまうかもしれません。ただこの海外ドラマの強みは、役者自体をよく知らない、また失礼ながら役者の格が分からないと言う点にあると思います。
だけどこの物語が本当に面白く感じるのは、犯人が誰かと言う部分ではないのですよね。
私は処刑の中で一番残酷なのは火刑だと思っているんです。あれは本当に恐ろしい~ !!!
異端審問と言うのが、この物語では重要な役割を果たしています。異端審問などと聞くと、私は魔女狩りなどを連想してしまうのですが、さほど変わりがないなと感じてしまいます。
自分たちと考え方が違うと「異端」、そして火刑・・・・。
もうどうしようもない世界だなと思うのですが、これが勝手あった本当の歴史でもあるのかと思うと、過去のヨーロッパに憧れる理由がなくなってしまうような気がします。
またも妄想タイム。
もしタイムスリップしてしまったら、そんな時代に太っていて猫が好きで真夜中に起きている・・・・って東洋人で言葉が分からない以前に、絶対に魔女って言われそうだな・・・・・。
はい。妄想タイムは終了しますが、異端審問官のベルナール・ギ―は「許す」とか言っておいて、自分がその女性の魅力に心が揺れると、さながらそちらに罪があるかのように「燃やせ」と言うくらいですから、妄想で考えたような理由で生きながら燃やされた人もたくさんいたと思います。
歴史の授業で習った「免罪符の発行」と言うのは、誰もが首を傾げるような愚行だったと思うのですが、この時代の僧侶たちはそうは思ってなかったのですね。凄くまじめにやっていたんですよね。
なぜなら「清貧」と言うものに価値を感じてなかったからみたいです。
「清貧論争」とか、それと「キリスト教における笑い」とはとか、へぇと思う事がたくさん出てきます。
そう言えば「相棒」にも「微笑みの研究」とかあったなとか連想してしまったのですが、まったく欠片も関係ないです。そう言えばと思ってしまったものですから^^
死に方がヨハネの黙示録になぞらえていたり、文書館が迷宮であったりで、金田一シリーズが好きな方にもツボにはまりそうな展開です。
そしてラストの八話は圧巻です。
だけどこの物語の最大の謎はタイトルかも知れません。
アドソの生涯でただ一人の女性になった、
「名前さえ知らず、その名前を呼んだこともなかった。」と言う女性の事を言ったのか・・・・
それとも最後にウィリアムがアドソに語った詩の引用から来ているのか・・・・。
まあ、セリフだと分かりやすく、この詩の引用から来ていると思うのですが・・・・。
原文ではなく、ドラマのセリフからですが、それでも心を打ちました。
「薔薇の美しさや 色、香りが褪せた時
言葉だけが残る。薔薇の名前が。」
アドソは心からウィリアムを慕っていました。だけどお互いにやるべきことをやるために、そこで別れていくのです。
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