森の中の一本の木

想いを過去に飛ばしながら、今を見つめて明日を探しています。とりあえず今日はスマイル
  

ドラマ「聖の青春」を見ました。

2020-01-31 00:31:18 | テレビ・ラジオ

(この記事は敬称略で書かせていただいています。)

※ 下の方に追記あります。

松山ケンイチの映画「聖の青春」も見たかったのですが、映画館にはとうとう行けずで、まだ未見なのです。ちょうどその映画が公開された頃、以前藤原竜也主演のスペシャルドラマがあったのだと初めて知って、見たいとずっと思っていたのでした。

24日に、「新しい王様」見たさで入って、まだうっかり入り続けている「paravi」で見る事が出来ました。

このドラマは、2001年の作品で、なんと藤原竜也のスペシャルドラマ初主演作品なのだそうですね。

 

19年前の藤原竜也、本当に美しく儚げです。

13歳の役からやっているわけですが、(13歳とは思ってはみませんでしたが)、ちゃんと子供に見えました。もちろん彼はその頃10代だったのですものね。

5歳で発病して、病院で幼き日々を過ごしていた村山聖に将棋との出会いがあり、そしてそれが彼の人生を大きく左右して行くのです。

 

そしてこの物語は、静かでそして切なく物悲しかったです。

奨励会に入ってから、他の棋士の中で最速の2年11か月でプロになっていきます。

それを支えた両親と師匠である森信夫。

 

聖の静かなものの言い方が、病弱で未来が見えない不安さを感じさせます。

度々熱を出す聖の看病をし、下着を洗い、買い物をして、そして彼の髪を洗ってあげる・・・。

どちらが弟子か師匠か分からない生活。

だけど時には、熱があっても、先の未来を潰すわけにはいかないと、勝負の席に押し出す師匠でした。二人の生活は、清潔で厳しくと言うものではなかったけれど、暖かい愛があったように、見ていても感じられました。ヒナが巣の中で、ちゃんと守られて育って行くようなそんな感じでしょうか。

足がパンパンに腫れて、とぼとぼ歩き、静かに語る美少年、藤原竜也。

雀荘に、彼が森を訪ねて来て

「先生、僕、今日、二十歳になったんです。

何でもないです。ただそれを言いたくて来たんです。」

と言った時、私はちょっと泣きたくなりました。森も、彼が去った後に

「そうか。はたちまで生きられないと思っていたんだな。」と呟くのでした。

 

このドラマには、知っている藤原節はないかと言うと、そうでもありません。だけどそれはその片鱗。

「こんなものは意味が無いんだ。僕には時間がないんだ。」とお金を破くところ。

好き好きもあるかもしれませんが、今の彼の叫びならば、もっともっと心に食い込んで滂沱の涙を流したかもしれません。

 

だけど後はやっぱり静かな語り方。父に自分が死んだら密葬にしてと頼むシーンでさえも・・・。(涙)

 

彼がいなくなってしまった後、森は聖の部屋を再び訪れます。聖の部屋は漫画が山積みされていて、あまり片付いている部屋とは言い難いのです。だけど窓を開けて空を見上げるシーンで、その横に置いてあり画面に写っていた漫画のタイトルは「エースをねらえ!」でした。

それは聖が一番最初に入院した時に、漫画を貸してくれて声をかけてくれた少女が持っていた本でした。

これはタイトルを映すのに、その許可を取るのかも知れません。そしてその許可の関係で、最後に何気なく置かれたり積まれたりしてある漫画の中で、タイトルがしっかり見えるのがそれなのかとも思えました。

だけど本当の事情はいざ知らず、私には何かの示唆に思えたのです。

本を貸してくれた少女は、次の時には居なくなっていました。つまり亡くなってしまったのです。

 

いつか死ぬという事は、逃れられない約束。

だけどその約束の時まで、ちゃんと生きたかが大切な事なんですよね。

29年、短すぎる人生で、聖はずっと将棋の世界と言う場所で、しっかりとその臨終の時まで生きたのでした。

だからこの、大崎善生の書いた「聖の青春」は人々の心を打ち、ドラマ化され、映画化されて行ったのだと思います。

 

松ケンの映画も見てみたいなと、このドラマを見て、再び思いました。

 

書き忘れてしまったので、追記しました。↓

「何のために生きる ?

今の俺は昨日のおれに勝てるのか?

勝つも負けるも地獄

99の悲しみもひとつの喜びで忘れられる。

人間の本質はそうなのか?

なぜ人間に生まれた?

人間は悲しみ苦しむために 生まれたのだろうか。

人間は必ず死ぬ、必ず

"何もかも一夜の夢" 」

聖が絵葉書に書き殴るかのように、書いてあった言葉が印象的で心に残りました。

 

 


【ストーリー】
5歳でネフローゼに侵され、入退院を繰り返していた村山聖(藤原竜也)。病により外で遊ぶことができなくなった聖は、病室で、父親(渡辺いっけい)が買ってきた将棋盤に触れ、それ以来、将棋に熱中する。元々備わっていた聖の集中力はものすごく、将棋の本を読んでいただけで、プロ棋士を倒すほどの頭角を現した。そして聖は13歳の時、名人・谷川浩司を「倒すのは今しかない」と、反対する両親らを説得し、大阪の森信雄六段(小林稔侍)に弟子入りを志願。「顔を見ればわかる!」と、聖と会った瞬間に迎え入れることを決める森。2人は将棋に没頭し、奇妙な師弟の同居生活を始める…。

 

 

 

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