(画像は15日に薔薇園で撮ったものです。花が音符みたいでしょう。)
2017年3月の「浅見光彦、未完小説「孤道」の刊行は!」から
>『2014年の12月から2015年8月まで毎日新聞に連載され、内田康夫氏が病気の為に中断されていたものが未完のまま刊行されることになったのです。
そしてそれを完結させる続きが公募されることになったんですよ。』
そしてその感想は→「孤道」
また、公募で決まった完結編の記事は→「孤道」の完結編は !!
すぐに読みたいものだと思っていたのに、ようやく読みました。
この作品、内田康夫氏が完成していたら、氏の代表作になるのではないかと思われるほど、前半の導入から広げ方から素晴らしかったのです。
これを引き継いで、どうやって落とすのかと興味を持って読みました。
なるほどこうやってなのかと、上手くまとめたなと感心しました。
さらに感心したのは、和久井氏の知識量の多さです。
文末の主要参考文献は28はありました。主要なので、細かいリサーチは本当にもっとたくさんしたと思いますが、きっと氏は、この研究畑の人なのかなとも思えました。
アマゾンサイトの評価の星の数も多かったです。
このプロジェクトが良い結果に終わって良かったなと言うお気持ちから、☆を多めに付けた人もいたかもしれませんね。
ただ私・・・・・・・
いろいろモヤモヤしました。
思わず、そのサイトのレビューを読んでしまいました。同じ感想の方は居ないかと思いまして。
まったく同じ事を思われている方が二人はいらっしゃいました。ひとりの方は☆ひとつでしたが、もうひとりの方は、それでも星は四つ。これは、上にも書いたように「頑張ったね。」と言うお気持ちからではないかと思いました。私もそう思います。
だけど、このブログでは、凄く正直に自分の気持ちを書かせていただきたいなと思いました。
本の紹介の下に、思った事を正直に書きました。
でもこんな風に思われてしまうのは、引き継いだと言うプロジェクトだからですよね。やっぱり和久井氏は頑張ったのです !
以下の文はあらすじを書いていないので、読まれていない方には、何を言っているのか分からないと思います。しかも珍しく、あまり良い事ばかりを言っていないので、これから読む参考にはならないかも知れません。
ただむしろ逆に興味を持たれて、「ああ、言ってたのはこの事か。」などと思っていただけたら幸いです。
☆ ☆
和久氏の豊富な知識が、小説の中であまり消化されて書かれていないと感じてしまいました。ゆえにその詰め込まれた知識が多かった前半には、
「私は何を読まされているんだろうか。」と思いました。その知識から来るお話は、それなりに興味ある話だったし物語の深みを感じさせる内容だったかもしれません。ただジャンル的に推理小説なので、やり過ぎのように感じました。
それが浅見があちらこちらに行って、収集した知識なら良かったのです。
善麿の日記からと言うのが、ちょっと苦痛に感じました。
それは日記を読んでいる浅見が多過ぎて、この人(浅見)何をしているのだろうかと思ってしまったのも辛かったです。
いや、そういう手法の小説もあります。でもこれは、だから前編ありきの小説なので、やはりこれはないような気がしてしまったのです。
また文庫で読んだのがいけないのかもしれませんが、そのレイアウトが、日記の部分が太字で普通のリアル部分とに堺がないのです。これは本の作り方の問題ではあるのですが、1行空けて欲しかったとも思うし、読者にこの日記を読ませるならば、古語文体とか、昔の文字には、注釈付けて読みやすくする工夫が欲しかったと思います。
そしてこれだけその日記を読ませるならば、その日記の中に事件が含まれてなければいけないと思うのですよ。
確かにありましたよね。村長さんの死。
ウーム・・・・・。
私、この辺り、ちょっとワクワクしたのです。何をかって言うと、この日記は、実は殺人の告白に変わっていくんじゃないのかと。
だったらちょっと面白いじゃん。「思わず立ち上がる浅見。」と言うシーンを期待してました。
「そんな~」「ばかな~」って、ネバーエンディングストーリーみたいにね。(笑)
違いましたが・・・・残念(^_^;)
それと違和感を感じたのは、日記の中の会話形式。
会話を日記に書くことはある事ですが、それでも若干書き方が違うような気がしました。
これは小説の中の小説。そんな感じ。なんたって神童と言われた善麿が書いているわけですから、そんな小説風の日記だからこそ、殺人の告白なんてものを期待したのかもしれませんね。
違和感と言うより驚いたのは、この話の落とし方です。
新しい登場人物多数。
なるほど、こんな風にやれば良かったのか。思いもよらなかったな。と思いました。
だけど、その物語は2時間サスペンスに相応しい内容になってしまったような気がします。
それはそれでいいと思います。
だけど私はやっぱり、その最後になんだかスッキリしないものを感じたのです。
綺麗に叙情的な美しさと余韻が残るラストでした。
でもオリエント急行の乗客の犯罪は赦せても、名探偵の最後の殺人も赦せても、この個人的な感情で歴史的な発見の封印は、何か私の中の道徳心が否定するものがあったのでした。
落しておいて持ち上げるわけではありませんが、この前半からの引継ぎは、本当に難しいと思っていました。やはりそれを思わぬ手法を持ってきて、完結させたのは凄いなと思いました。
だから敢えて思ってしまいました。これもアマゾンのレビューに同じ事を言っていた方がいらして、みな思う事って大差ないんだなと思ったのですが、次点の方の作品を読んでみたいという事なんです。
その方はどんなふうに物語を紡いだのでしょう。
ちょっと気になる所ですが、叶わない夢ですね。