以前、韓流ドラマの「主君の太陽」を見た時に、この「あらしのよるに」が作中に紹介されていました。
その感想は→「主君の太陽」を見ました。
その中でも書きましたが、かなり話題になった「あらしのよるに」と言う作品は知っていましたが、その先の続編には興味もわかず、あらしの夜に出会った狼とヤギが、その後どうなったのかまったく知りませんでした。
と言うわけで、読んでみました。
「完全版」は、
第1章 あらしのよるに
第2章 あるはれたひに
第3章 くものきれまに
第4章 きりのなかで
第5章 どしゃぶりのひに
第6章 ふぶきのあした
第7章 まんげつのよるに
と言う内容です。
絵本だったら7冊になるのでしょうか。
この二匹を難しく何かの比喩とも思わずに、この世界感の中でただ物語を追って楽しめば、大人も楽しめるファンタジーだと思いました。
私は単純な人なので、このラストに満足し瞼を濡らしました。
思うに「主君の太陽」のドラマは、最後の7冊目が描かれる前に取り上げられたのだと思いました。
狼のガブとヤギのメイが最後にどうなったのか、見届けたい方は、この完全版をお勧めします。
感想は、この本の紹介の下からです。
〈ラストは書いていませんが、軽くネタバレしています。〉
「あらしのよるに」、真っ暗な小屋に、その叩きつけるような雨を逃れてヤギが避難していました。そこに足をくじいた狼が杖を突きながら入ってくるのです。コツン、コツンと言う杖の音を、ヤギは蹄の音と勘違いし仲間だと思って話しかけるのでした。
私たちって、本当に気が合いますね。
今度晴れた日に会いましょう。合言葉は「あらしのよるに」ですね。
と言って、2匹は去って行くわけですが、なんて言うか、アイデアの勝ちだなと思える物語ー。
ヤギと狼の物語なのに、スリルとサスペンスで、これを読んだ子供たちは、きっとドキドキワクワク、そしてハラハラしたに違いありません。
私の子供が小さかったならば、きっととっても喜んだと思います。
そして
「それでどうしたの ?」と言う子供に
「ここで終わりだよ。君はどうなったと思う?」と私は言ったでしょう。
すると子供たちは、一日中ボーっとして、続きを考える―。
本当は、このお話はここで終わりだったと思うのです。素晴らしい傑作ですね。
だけどこの続きを望む人たちの要望に応えて、作者は書き続けたのです。その時から、これはスリルとサスペンスの物語ではなくなり、ヒューマンドラマに変わっていったのだと思います。
2匹は仲間に知られてはいけないヒミツの友達であり、だけど決して裏切らない友達でもありました。
その秘密がばれてしまった時、メイはヤギの群れから追われ、ガブは裏切り者として仲間から追われるようになります。2匹はどうやって狼たちから逃れられるのか、彼らの未来はどうなるのか・・・・って、まるで本当に大恋愛ドラマみたいですね^^
第6章「ふぶきのあした」で、作者は終わりだと思って書いたらしいです。本当にクライマックスと言う感じで、先にも書きましたが、涙が滲みました。1話のような斬新なアイデアは無くても、美しい文章で胸に突き刺さりました。
だけどその終わりでは、世間が許してくれなかったようです。
「主君の太陽」で言っていた、「より愛した方が死ぬのです。」部分です。
私も「いやだぁ、いやだぁ」と思いました。
そして第7章「まんげつのよるに」が生まれたのですね。
なんて言うか、美しく切なく残されてしまった者がさすらう姿に、また涙する私。
そしてー。
またも最大のクライマックスが訪れるのでした。
このラストには、ほとんどの方が満足するのではと思います。
この作品は、その後アニメにもなり映画にもなったのですね。
またこの作品によって、作者のその後の人生は、ちょっと変わったのではないかと私は思ってしまいました。
(単に『思ってしまった。』だけです。)
今日、お友達にこの話をしましたら、
「あのワニの話と一緒ね。」と言われ、ああ、なるほどなと思いました。
(あくまでもお友達の感想です。)
だけど世の中には、その後の人生をきっと変えるだろうと言うようなアイデアが閃くことがあると思うのです。
そして私はそれは(怖いけれど)、素敵な事だなと思っているのです。
↓ アマプラの、映画の紹介です。今の時点では有料です。だけど声優が中村獅童さんと成宮君なので、ちょっと興味ありです。