【追記しました。】
子育てピークで1988年のアニメを見損ねていた私が、ふと思いついて読み始めた「AKIRA」。とうとう読み終えたのですが、するとやっぱりアニメの一部でも良いから見たいと思って、動画などを探していました。you tube で冒頭のシーンだけあったのですが、私的にはそれでかなり満足です。
ついでに映画の感想などを読んでいましたら、その中に、難解なので原作をぜひ読んでみたいと言うようなものがあって、思わずニヤリとしてしまいました。ラストの難解さは、原作も同じ事だと思ったからです。むしろ映像で見た方が分かりやすいのではないのかしら。
なぜなら、それはあくまでも私個人の感覚ですが、金田たちがバイクで暴走を続け、鉄雄がタカシと接触してしまうまでに、原作では彼らがカッコいいなどと微塵も思う事が出来なかったからです。ところがアニメの冒頭、夜の街を暴走していく金田たちは、マジにカッコいいのよねぇ。都会の夜の風を感じると言うか、ビルを写すアングルとか。
もちろん、こんな迷惑なやつらがリアルに居たら、出来るだけ関わり合わない人たちと決めつけたくなる方々なのかも知れませんが、なんたってそこは物語の世界なので、このパラレルワールドでは、彼らをカッコイイと受け入れられる、また別の自分がいるのです。いや、これはこの漫画を愛するほとんどの人がそうなのよね。
とにかく彼ら「健康優良不良少年」たちが主人公で、ネオ東京の未来のカギを握っていたと言えるのですよね。
あっ、もう一つ言ってしまうと、分かりやすいのは主人公たちのキャラの顔もだと思いますよ~。
もちろん前後のお話の筋で、誰が誰だと分かりますよ。だけど私には、最初の方は分かり辛かったのです。こういう感覚は別に特別な事ではなくて、昔々の事ですが、高校のクラスにベルばらの単行本を持って行ったら、クラスメイトの一人に言われました。
「同じ顔がいっぱい出てきて、訳が分からない。」と。
「ええっ !?」と、私は思いましたが、作者の苦労も消し飛ばすその発言は、俳優さんでもいつも同じに見えてしまう人がいるとか、個人的にあり得る現象なのかと感じています。
そして私には、金田と鉄雄と甲斐・・・・
それがアニメだとはっきりと分かりやすい。
最初に感情移入しにくいなと感じたのはそこにも理由があったかもしれません。
と言っても「2」以降は、お話が面白かったので問題なしでしたが。
そして流石に「4」以降になると、はっきりとキャラが見えてきました。
特に甲斐と言う青年は、立ち姿からセリフまで私好みで、もしかしたら一番好きだったかも。それに主役でないものだから、もしかしたらフラグが立ってしまうかもとドキドキさせられました。だけど彼も、なんだか突然出てきたように感じて、どこにいたの今までって。
一旦見えだすと、感情移入もしやすくて、更に面白さが増しました。
意外と…いや、意外ではないのかも知れないけれど、金田ってダーク御茶目。
ダーク御茶目って言葉はないけれど、けっこう自分勝手で、だけどなんかそのシーンがコメディっぽくて面白かったです。細かい事ですが、ジョーカーの改造した、ちょっと安全性が分からない乗り物にさりげなく
「おまえ、乗れ」とか言ってみたり、危険が迫っていてぶっちぎりたい時に、もっとバイクを軽くしたくて、一緒に乗っていた甲斐に「後は任せろ。」とか言ってみたり・・・・・。
ダークだけれど、そのシーン、ちょっと笑えます。
彼らがちゃんと見えてきたこの辺りから、一気にドドドドと読みました。
あらすじは書いていませんがネタバレしています。
恐ろしい怪物と化してしまった鉄雄。
だけどどうして彼でなければならなかったのかー。
いや、彼らでなければならなかったのだと思います。
アキラと言う人類が手にしてはいけないものを作り出してしまったから。
何かが始まれば、それがどこかに帰着するまで動き出してしまうのだと思うのです。運命に選ばれてしまったんだな、金田と鉄雄は。そう思ってしまいました。
キヨコたちと再会したアキラは、はっきりと目覚め、そして優しい顔をしていました。キヨコたちも普通の子供の顔に戻って・・・・・
で、彼らは鉄雄を飲み込んでどこへ行ってしまうと言うのでしょうか。
それは読み手の想像力と知識の力量に問うものなのでしょうか。
たまたまですが、この最後の「6」を読む前に、金曜ロードショーで「アントマン」のラスト十数分を見ました。子供を救うために禁断の原子レベルに小さくなってしまうアントマン。歯止めが利かなくなって量子レベルまでどんどんと小さくなって行ってしまいます。(垣間見たので、いろいろと不正確だと思います。)
その時の記憶が無くなってしまうのですが、彼はそこで何かを見たはずなのです。命の不思議かまたは宇宙の秘密か・・・。
なにげに通じているものがあると思いませんか。膨張するか縮小するかー。
だけどいずれにしても人々が知りたいものは、同じなのかも知れませんね。そしてそれこそ、手に取ってはいけない禁断の果実なのかも知れません。
力は制御できなければ、「持った」とは言えない。
ああ、何か鉄雄の力って、今の世の中のあれやこれやを示唆しているような感じ。
それはとにかくも、鉄雄の体がグロテスクに暴走する時、彼は本当に苦しそうでした。
あの時、一言だけ言った鉄雄の本心は胸に突き刺さりました。
「金田、たすけて」と。
すべてが終結してネオ東京の街を金田とケイが走って行く時に、死んだ山形やそして鉄雄も並走して過ぎていきます。廃墟の東京から元の復興した未来の東京へと走り去っていくところで終わるのです。
この作品を30年前の物なのに凄いと言うのは、ちょっと私的には違うかなと思いました。アニメは技術面の進歩があるので、それは言えるかもしれないと思います。だけど漫画の方は、30年前だろうと40年前だろうと、関係ないのではと思います。いついかなる時でも傑作は傑作として、読み手の器に合わせて世に出るものだからです。
ただ30年前の金田ははっきりとアメリカに言いました。
「俺たちの国に、手を出すな。」と。
(セリフは不正確)
最後に鉄雄の心を癒す侍女として、カオリという少女が出てくるのですが、その少女を見ていたら
「永遠に女性的なるもの、われらを高見へと導く」というゲーテのファウストの言葉を思い出しました。
ケイにしても、何気にみな役割が与えられていた、そんな物語だったような気がします。
脳内映像転換が容易に出来そうな、シーンの転換や圧倒的迫力でスピード感も伝わってくる画力に圧倒されました。
面白かったです。
《この画像の下に「追記」しました。》
ラストページに。
※ 追記です。途中のシーンやラストシーンを見つけたので分断されていましたが、ちょっとだけ動画の方も見てみました。
音楽がカッコ良かったです。かなりハイセンス。これは全体的に言えてましたね。だから多くのファンを世界中に作ったのだと思います。
だけどラストシーンは、原作の方がより一層カッコ良いような気がしました。
どんなに酷いいろいろな事があっても、すべていつかは過去になって行くのですよね。
この物語は2019年が舞台で、2020年の東京オリンピックの一年前の世界を描いています。(もうこれは予知かって思えてしまって、凄すぎます。今起きている災害などを思っても。)
だけどリアルの2019年が来ても、どうか東京は崩壊しませんように。問題は山積みのようですが、無事に2020年のオリンピックを迎える事が出来ますように。
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