(トップ画像は、記事には関係のない事ですが、最近記事に絵がないと寂しく感じるようになりました。
「横浜イングリッシュガーデン」の薔薇です。(^_^;))
☆ ☆
最初に本の内容の感想ではないのですが、私が読んだのは、1986年9月出版のもので、425ページあったんです。しかも上段と下段に書かれていたもので、言うなれば役850ページ分あったわけですよね。
久しぶりに、「読んでも読んでも終わらない」と言う感じがして、フゥフゥと言ってしまいました。
これは図巻でもあるわけだから、全部読まなくてもいいのではと、途中思ったものの、実は面白くて弾みがついたら止められなくなりました。
と言っても、なかなか読み終わらなかったのでしたが(^_^;)
上下巻合わせて、923名分の臨終の様子が書かれているらしいです。
上巻は10代、20代の44人の人の死にざま、そして30から1歳刻みで載っています。
やはり若くして亡くなっていると、その死を悼みたくなります。
例えば八百屋お七とか大石力。
何となく、物語の中の人たちのような気がして「ああ、そうか。」と、その死も、普通に受け止めていたのですが、これを読むと、やっぱりその若すぎる死が哀れに感じたのでした。
好きな小説家や、ロマンチックな大好きな詩を書く詩人、心に染み入る音楽を作り上げた作曲家、その人たちにけっしてロマンチックな死が訪れてはいない事を知り、少し衝撃を受けたりもしました。
死の原因はそれぞれと多様で、やはり癌や脳卒中などで亡くなる方も多かったのですが、ちょっと胸が痛かったのは梅毒が原因での死亡が多かったことです。
この恐ろしい病気は、才ある人たちを狂人にして、そして命を奪っていきました。
今の世の中は、恐ろしい他の病気に心を痛めなくてはならない事も多く、陰をひそめているように見えますが、けっして根絶している病気ではない事を留意しておかなければならないと思います。
人々が如何に臨終を迎えたかをずっと読んでいても、徐々に面白く感じて来たかと言えば、それは別の見方からしたら、まさにそれは人々の生きた記録に他ならないからだと思いました。
死は、生まれて来た時からの逃れられない約束です。
生まれて生きて、そして死ぬ。人々のそんな記録が、寧ろ私を勇気づけたのでした。
また知らなかった人たちをかなり知る事が出来ました。
たくさんの知識を、この本から得る事が出来たように思いましたが、さりげない一文が心に残りました。
ただ、今その本が手元にないので正確な言葉ではありませんが、与謝野晶子の所で、
ー貧しくとも優雅に生きる事が出来た見本のようなもの。
と言うような内容だったと思います。
素晴らしい人は、やはり素晴らしいなと思いました。
上巻は64歳まで。
時代によっては、それ相当な平均寿命と言えるかもしれませんが、今の感覚では、みな若すぎる死だったと思います。
こちらにて、どのような人が乗っているのか確認できます。→「人間臨終図巻」
今は、読みやすくなって再出版されています。↓
・・・・