京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 やおよろずの気配・・・ 

2011年01月10日 | 熊野古道(紀伊路・中辺路)を歩く
はるか東山連峰の稜線が茜色に染まる光景を目にしながら、まだ暗いうちからリュックを背負い歩いているのを妙に嬉しく感じていた。八日、新年第一回目となる熊野古道ウォークの朝。

事故渋滞に巻き込まれて、到着時間は大幅に遅れた。11時、バス車内で昼食を済ませてからの出発となった。
紀伊路でも難所の一つと言われる鹿ヶ瀬峠・熊野古道では最長の503mに及ぶ石畳道を歩き、初めて見た黒竹の林を抜けて、棚田が広がる原谷の里で見上げた空の青さ―、変化に富んだコースだったと思う。
 
              右下からやって来て
   
 木の洞が狭くなって中から外へ転がった馬頭観音。台座は洞に残したまま新たに
 ここに祭る。馬がクサを抓んで食べるように人間の苦悩を摘み取っていただけると…
 
             

  
九十九折(つづらおり)の山道には、いのししが鼻先でつけたとされる跡がずっと筋状に続いていた。こうして自分達が歩き去った後の森の静寂を思った。
一歩一歩敷き積もった落ち葉を踏み締める音だけを耳に、滑らないよう気を使って無言で歩いていて、ふーっと意識が遠のくような、周囲の静けさに吸い込まれるかのような一瞬の錯覚?… 歩いていて眠気を催すのだった。睡眠不足かなと思いもしたが、木漏れ日の差し込む、豊かな森の霊気に包まれた微妙な時間帯だった気もしてくるから不思議だ。

  
         小峠を振り返って                内原王子神社
太い枝が縦横に伸びた巨木に驚き、「なに!?これは」と問えば「椨(たぶ)の木」だと言うことだった。白檀などの香木を混ぜて線香の原料になる木。その傍には「樒(しきび)」、葉を折れば強い香がする。線香もしきびも仏事用だ。
今回の終着地、内原王子神社の境内には、やはり常緑樹の高木で春先に開花する「招霊(おがたま)の木」が植えられていた。神前に備え、神霊を迎える木。写真は、秋に生った赤い集合果がすべて落ちた後のものだが、…今にも聞こえてきそうな鈴の音。巫女が手に持ってシャンシャンと鈴を振って舞う巫女神楽、その神楽鈴の原型になったものだと教えられた。

  
            実は落ちて               神楽鈴

そこかしこで日本人として八百万の神にも触れることができる「ふる道」なのかもしれない、熊野古道。
19名の参加者と歩いた12,2km、歩数計は17097歩を示していた。
コメント (9)
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