京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

  「試みに看よ…」

2012年04月08日 | こんなところ訪ねて

「近江名所句巡り」で坂井輝久氏が紹介されている長楽寺。
円山公園東南の奥にあるが、これまで足を運んだことがなかった。朝からのお花見日和を予感させる日差しに恵まれた今日、古稀を迎えた友人がいる。軽めの食事とおしゃべりで過ごし、ここへの散策を盛り込んだ。     

当時の観光案内書のようなものだろう、「花洛名勝図会」が「洛東第一の風景」とうたう長楽寺(市・東山区)。この由緒ある寺は、もともとは円山公園の大部分を含む広大な寺域をもっていたのだという。隣の大谷本廟建設の際、幕命により境地内を割かれ、明治に入って境内の大半が円山公園に編入されたと説明している。古くから多くの優れた文人墨客によって詩や歌に詠われている地。西行も修行し平家物語とのゆかりも深い。八歳で入水した安徳天皇の母であり清盛の娘・徳子は1185年5月1日この寺で出家し、のちに大原寂光院に移り住んでいる。

    「試みに看よ紫闕金城(しけつきんじょう)の景」

           

桜の季節は、墓地からの眺めは絶品で、眼下に円山公園の花が広がり、その向こうに市街地を一望する。紫闕金城(しけつきんじょう)とは、禁裏御所のある都の事。表出の一句は、詩人中島棕隠(そういん)の詩の一句で、あたかも「香雲艶雪」のような桜の間から見えると詠み続けているという。

頼山陽が遺言により眠っている傍に小さくビュー・ポイントが開けていた。ブルーシートの広がりが見える。マイクを通した歌声が響く。円山公園の賑わいは間近かだった。待ちに待った桜の開花とこの陽気だ、静けさも何もあったものではない。

   木屋町通高瀬川沿い 

桜の花が咲きだしても、どこへと言って気持ちが動かないこともある。別にどこも行かなくてもいいのだ。ふとした外出で目にした美しさだけで十分贅沢な気分に浸れることはある。かと言って、あんまりこもりがちでももったいない。次はどこ行こ…。

コメント (8)
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