京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

「妙『口』人」

2020年04月06日 | 日々の暮らしの中で

今年は義母の7回忌のお勤めでした。

快活で飾らない人だった。よくしゃべった。自分のお喋りでその場の雰囲気を作り、居合わせた人を大きく包み込む人だった。
一方で、口からよく言葉が滑り落ちることも多かった。と、自ら「口はわざわいのもと! なむあみだぶつ なむあみだぶつ」」とつぶやく。
巧みな自戒の念(?)の示し方に、 腹が立つことも、あきれることも、ひそめた眉が笑いに変わることも、…いろいろあった。

かつて龍谷大学ミュージアムで「妙好人における死生観と超越」という特別展を拝観したことがある。
浄土真宗では、親鸞聖人の教えを熱心に聞法し、念仏ひと筋に生きた篤信者を「妙好人」と名付けて讃えている。「妙にして好ましい人。ミョウコウニン」は、市井に生きる人々の中に見出されてきた。苦悩の日常を力強く生き抜いた人。不思議なまでに優れた力をもった人という共通点を持つ。凡夫ゆえに、怠ることのない努力を自らに課して生きるのだ。

常に温かく人を迎え、妙なるもの言いの心を持ち合わせていた義母。その巧みな話で紡いだ縁の広がりを思う。まさに「妙『口』人」でした。

コメント (2)
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