孫娘は最初の予定を早めて帰国した。
スーツケースの重量が20kgまでのところぎりぎり19.9キロ(機内持ち込みスポーツバッグが10キロ)でやってきた。
帰り、出国手続きのカウンターで計ってみるとスーツケースは29.7キロ(30kgに申請)だった。
持ってきた冬物の衣類は船便で送ることにしたので、ほぼほぼ家族や友人、自分のために買った品々で満杯状態。菓子類の多いこと。買うだけ買って詰める。だから入りきらず、航空便EMS1箱、船便2箱にも分散することになる始末だった。
待ち人の顔を思い浮かべれば、孫娘には重さなどなんのその。その代わりに支払う荷の送料(郵便料金)には、わかっていてもひそかにうならざるを得なかった。
孫娘の姿格好が目の端に入るようなとき、娘と錯覚する瞬間がある。「マミィちゃんがいるみたいよ」と笑ったことが何度かある。写真に撮って娘に送ると、娘は「アタシダー」っと笑った。
18歳。社会性では今一つ頼りなさがあるが、気づかい合って程よく距離を置いて過ごすとき、そばにいてくれることは心強く、ゆったりとした安心感を抱いているのを感じもした。
高校の卒業式を終えて日もなく、友人と来日した。
4年間暮らした大阪での友人たちは大学受験を控えて猛勉強のまっさ中。京都での友人も同様で、そう頻繁に会う余裕すらなく、当然誘うことは控えた。
来ることは早くからわかっていたが、小旅行に連れ出してやることもできないまま師走に入ってしまう。
滞在中、大雨による洪水だったかで乗り継ぐケアンズ空港が使えなくなったニュースもあった。当初のチケットは、ケアンズで9時間待ちというものだった。大学は2月に入ってからと聞いているが、少しは身辺整理して新しい出発に備えたほうがよいのでは。そろそろ…。
このところの生活の中心を占めた存在が姿を消したあとの、なんとも言えない空虚感。しかしそこにもやがて平常は戻ってくる。
ある時、自分は「変化を好まない人だから」と口にした。初めて聴いた自己分析?
幼いころから日本にやってきては短期間でも幼稚園、小学校の生活を体験したことは無意味なことではなかったはず。〈親の都合〉では終わらない。
『扉の向こう側』にあったヤマザキマリさんの言葉が再々思い出される。
「完全な偶然の中で知り合う他人というのもまた、見知らぬ土地への旅と同じく、自分の人生観や生き方を変えるかもしれない要素をもった、未知の壮大な世界そのものなのだ」
私がザッと読み上げたマリさんの体験談に、「それはすごい」と心動かしたことを忘れないで。
幾つもの出会いが自分を作っていく要素の一つ一つになっていく。
今後訪れるであろうさまざまな出会いに、喜びにあふれて生きていってほしい。今、18歳の娘に心から願うことかもしれない。
スーツケースの重量が20kgまでのところぎりぎり19.9キロ(機内持ち込みスポーツバッグが10キロ)でやってきた。
帰り、出国手続きのカウンターで計ってみるとスーツケースは29.7キロ(30kgに申請)だった。
持ってきた冬物の衣類は船便で送ることにしたので、ほぼほぼ家族や友人、自分のために買った品々で満杯状態。菓子類の多いこと。買うだけ買って詰める。だから入りきらず、航空便EMS1箱、船便2箱にも分散することになる始末だった。
待ち人の顔を思い浮かべれば、孫娘には重さなどなんのその。その代わりに支払う荷の送料(郵便料金)には、わかっていてもひそかにうならざるを得なかった。
孫娘の姿格好が目の端に入るようなとき、娘と錯覚する瞬間がある。「マミィちゃんがいるみたいよ」と笑ったことが何度かある。写真に撮って娘に送ると、娘は「アタシダー」っと笑った。
18歳。社会性では今一つ頼りなさがあるが、気づかい合って程よく距離を置いて過ごすとき、そばにいてくれることは心強く、ゆったりとした安心感を抱いているのを感じもした。
高校の卒業式を終えて日もなく、友人と来日した。
4年間暮らした大阪での友人たちは大学受験を控えて猛勉強のまっさ中。京都での友人も同様で、そう頻繁に会う余裕すらなく、当然誘うことは控えた。
来ることは早くからわかっていたが、小旅行に連れ出してやることもできないまま師走に入ってしまう。
滞在中、大雨による洪水だったかで乗り継ぐケアンズ空港が使えなくなったニュースもあった。当初のチケットは、ケアンズで9時間待ちというものだった。大学は2月に入ってからと聞いているが、少しは身辺整理して新しい出発に備えたほうがよいのでは。そろそろ…。
このところの生活の中心を占めた存在が姿を消したあとの、なんとも言えない空虚感。しかしそこにもやがて平常は戻ってくる。
ある時、自分は「変化を好まない人だから」と口にした。初めて聴いた自己分析?
幼いころから日本にやってきては短期間でも幼稚園、小学校の生活を体験したことは無意味なことではなかったはず。〈親の都合〉では終わらない。
『扉の向こう側』にあったヤマザキマリさんの言葉が再々思い出される。
「完全な偶然の中で知り合う他人というのもまた、見知らぬ土地への旅と同じく、自分の人生観や生き方を変えるかもしれない要素をもった、未知の壮大な世界そのものなのだ」
私がザッと読み上げたマリさんの体験談に、「それはすごい」と心動かしたことを忘れないで。
幾つもの出会いが自分を作っていく要素の一つ一つになっていく。
今後訪れるであろうさまざまな出会いに、喜びにあふれて生きていってほしい。今、18歳の娘に心から願うことかもしれない。