「俺は学者で勉強しなければならないのだから、おまえなんかにかまっていられない。それを承知していてもらいたい」
新婚早々にこんな宣言をされたと、夏目鏡子さんが『漱石の思い出』で語っている。大正5年12月9日逝去。今日は「漱石忌」
7月中頃、新聞記事で大江健三郎さんと古井由吉さんの座談の概要記事を読んだ。その中で、お二人がそれぞれに漱石を代表する3作品を挙げられていた。大江さんが『虞美人草』『こころ』『明暗』、古井さんは『こころ』『草枕』『道草』だった。
まだ読んでいなかったこともあって、つい先ごろ『道草』を読み終えた。漱石の自伝的小説とも言われる作品だが、大正4年に朝日新聞に連載後、出版されている。主人公の健三とその細君、心に沁みる優しさがない、情愛のなさが夫婦に感じられて、読んでいても気分がよくない。
印象深かったのは「人間の運命は中々片付かないもんだな」という健三のことば。「世の中には面倒臭いくらいな単純な理由で已める事の出来ないものがいくらでもあるさ」とも。
縁の片付かなさの中で人は生きているのだと思えば、年賀状くらいのおつき合いの縁を、今ここで切ってしまってよいものがあるのかどうか、気をつけなくては…。断捨離ブームにしても、捨てるものを間違えては一生の大損だろう。
家庭の事情がさまざまに持ちあがって、この1年は御無沙汰が多かったが、女三人の都合を合わせて今年最後となる映画にランチ付きで一日を楽しんだ。「KANO海の向こうの甲子園」が期間限定で再上映されるからと、一人の友の積極的推奨作品に乗った。滋味だが暖かな感動をもたらすいい映画だった。
細くても、縁の糸を這わせて…。来年の春先再会を約して別れた。
新婚早々にこんな宣言をされたと、夏目鏡子さんが『漱石の思い出』で語っている。大正5年12月9日逝去。今日は「漱石忌」
7月中頃、新聞記事で大江健三郎さんと古井由吉さんの座談の概要記事を読んだ。その中で、お二人がそれぞれに漱石を代表する3作品を挙げられていた。大江さんが『虞美人草』『こころ』『明暗』、古井さんは『こころ』『草枕』『道草』だった。
まだ読んでいなかったこともあって、つい先ごろ『道草』を読み終えた。漱石の自伝的小説とも言われる作品だが、大正4年に朝日新聞に連載後、出版されている。主人公の健三とその細君、心に沁みる優しさがない、情愛のなさが夫婦に感じられて、読んでいても気分がよくない。
印象深かったのは「人間の運命は中々片付かないもんだな」という健三のことば。「世の中には面倒臭いくらいな単純な理由で已める事の出来ないものがいくらでもあるさ」とも。
縁の片付かなさの中で人は生きているのだと思えば、年賀状くらいのおつき合いの縁を、今ここで切ってしまってよいものがあるのかどうか、気をつけなくては…。断捨離ブームにしても、捨てるものを間違えては一生の大損だろう。
家庭の事情がさまざまに持ちあがって、この1年は御無沙汰が多かったが、女三人の都合を合わせて今年最後となる映画にランチ付きで一日を楽しんだ。「KANO海の向こうの甲子園」が期間限定で再上映されるからと、一人の友の積極的推奨作品に乗った。滋味だが暖かな感動をもたらすいい映画だった。
細くても、縁の糸を這わせて…。来年の春先再会を約して別れた。
私も「道草」を読んでいません。
でも、読んでいて気分が良くない~とあり
つい、先日読んだ水村美苗の母の遺産を思い出しました。あれも読んでいて気分が良くなかったです。
やはり、感銘を受けるか文句なしに
面白い本がいいですね。
主人公の健三、こんな男はごめんこうむりたいです(笑)
でも、そのうちもう一度読んでみようかとも思えてます。へんですね。
心理描写、面白いですよ(笑) イラッ!とするのに。
それに、彼の生い立ちからして、やっぱり「人間の運命は中々片付かない」と言わせる縁の片付かなさ、を
イラッとしながらそうかもなあと思ってみたり…。
漱石の一面を知るには興味深い一冊なのかもです。
題名は皆知っていますから、忘れているのかもしれません。
内容までしっかり記憶にあるのは「坊ちゃん」だけです。
女中の清さんも覚えています。
英国滞在記も読んだような?
作品自体の面白さもさりながら
胸打つ言葉、考えも及ばない言葉などに出会って感動したり、さすが漱石と思った記憶があります。
映画はまだ思い切って見に行けません。
候補の映画はありますのに・・・
「FUJITA」などです。
それでもイラッと、これほど感じる作品は初めてのような気がします。
古井由吉さんが「人の一生の時間のありようが非常によく出ている」と
評されていたことも読むことにつながりました。
「虞美人草」でも、文章表現はいいなあと思います。
こちらでも「FOUJITA」は上映されています。明日は「黄金のアデーレ」を見に行きます。
じっと座っていることがご負担でしょうか。
長時間座っていて、立ち上がるとしばらく安定しません。
よろよろとふらつきますので用心しています。
痛みはありませんので、近々に映画挑戦してみます。
映画も文章も京都散策もいつも参考にさせて頂いています。
Keiさんのブログは私の「ナビゲーター」です。
護王神社、同志社も旧京都府庁舎等々・・・
みな日帰りで気軽に行っていました。
ありがとうございました。
押されてもいけません。立ち上がってからゆっくり!ですね。お気をつけて。
「FOUJITA」、どのように描かれているのでしょう。チャンスがあるとよろしいですね。
嬉しくても悲しくても、感動するってものすごく心に刺激を受けますね。
「黄金のアデーレ」、よかったです。