京の辻から   - 心ころころ好日

名残りを惜しみ、余韻をとどめつつ…

 時が来れば… 

2010年03月13日 | 日々の暮らしの中で
                  

時節が来ればこうして優しい花をつける。ろくに手も加えないままに上へと高く伸ばした山茱萸の木。赤い実を落とし、葉よりも早くに小さな黄色い花をつける。春黄金花(はるこがねばな)ともいうらしい。遠目ではかたまってみえるものも、一つひとつを覗いてみれば細やかな花だ。お隣さんと触れ合うこともない。

冬の蠟梅と並んで親しい生花店に“出荷”できるほどの、我が家に在ってはちょいと珍しく自慢の木。何せほったらかしが普段のことで、せめて根を張る自由を与え、“養分”と称して台所から出た生ごみなどを地中深くに埋めてやるだけ。たっぷりの滋養で春に、夏に秋にとそれらは姿を変える。ワサワサと葉音を立てる夏も涼しげだし冬の丸裸の梢も好ましい。

帰国直前からの風邪気味が長引いてけだるい毎日が続く。
ぽかぽか陽気を知らぬまま一日を過ごし、どうあっても今日は、と穴倉から抜け出してみれば、ちょっと寒いがやはり世は春。外の空気を吸いながら歩いて病院へ。遅まきながら道路沿いの紅梅を楽しんで満たされた思い。

     美しき眉をひそめて朝寝かな       虚子

こんな艶っぽさもなく、咳で、熱で「寝るよりほかに私の夜はなかった」(「シジミ」石垣りん)わけだが、停まっていた所が少し動き出そうとするかの今日の気配…。


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2 コメント

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歩きにほどよく… (yattaro-)
2010-03-14 14:15:23
山茱萸(春黄金花)風流を誘う呼び名。
春に黄金の花が咲く…ええですね~。
やっぱり、そぞろ歩きが気持ちをほぐしてくれる季節ですね。
少しの重ね着がほどよく身体を温め、大股で一歩を踏み出すとポカポカに気持ちまで軽くなる…。
病院通いでは、目的はいまイチですが、新しく咲く花・今を盛りと咲く花に目を向けるのは、“動き出そうとするかの今日の気配…”そのものですね。
早く完全回復を…。お大事に。
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一枚脱ぎ捨てて・・・ (kei)
2010-03-14 18:01:15
春まだ浅い時期でしたら「黄金の花」、まさに春を告げる喜びに千金の価値ありでしょうね。

思わぬ落とし穴にはまった気がします。
向こうでひいた風邪に日本の薬は効かないと娘が言います。だからこその病院受診ですのに長引いてうんざりです。やっぱトシかな~~と弱気が…
どうすれば早く回復すのやら、健康のありがたさ痛感しています。

昨日以上のポッカポカ陽気でした。

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