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3日午前7時40分、四条大宮を経由してやって来た20分遅れのバスで京都八条口を出発。
参加者15名で紀伊路・中辺路の「熊野古道を語り部と歩く」ウォーキングツアーの始まりに、京都の朝は晴れていた。
昨年から取り入れたという特別な見所もないおよそ16kmのコースは、今後の熊野古道を歩くための導入、まずはひたすら歩き続けることの体験化を狙っているようだ。紀ノ川の南岸、JR和歌山線布施屋駅に近い布施屋の渡し場でバスを下車。語り部さんと合流、渡し場の説明を聞き、近くで準備体操などして体をほぐし、いよいよの出発である。9時半過ぎ、雨がぽつっ! やっぱり降ってきた。降り出したら最後、回復は望めない今日の天気だった。
【布施屋から‐川端王子‐大庄屋旧中筋家住宅‐矢田峠‐平緒王子‐伊太祁曽(いたきそ)神社‐奈久智王子‐竹内神社‐四つ石地蔵‐松坂王子‐汐見峠‐松代王子‐菩提房王子‐熊野一の鳥居跡(祓戸王子)‐鈴木屋敷の傍を歩きながら‐海南市の藤白神社へ】
紀伊路・中辺路に限って九十九(と言えるほど多くの)の王子が散在していたという。つまりブームのように数多くの皇族や貴人が熊野に詣でるようになり、その接待、休憩所や宿泊所の役を果たす神社は自然と増えていったとか。祠があったり碑だけのものもあるが、特に格式の高い五つの王子を五体王子と言い、本日の終着地はその一つになる。
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道に埋め込まれた導き石 矢田峠入り口
矢田峠にかかる前に小休止、喉を潤しカッパを着込む人も多かったが、きついとされる峠道、暑いだろうね…と声を交わして傘だけで進む。起伏も多く足元の悪さもあったが苦にならず。道の両脇は真っ青な紀州みかんが鈴なりに、かと思えば食べごろかと見える小粒がいっぱい落ちている。はるか向こう、紀伊の山並みが幾重にも煙って見える。雨中の行進に心晴れる瞬間、雨だから出会える美しい風景だった。
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矢田峠山中、立て膝に頬杖の阿弥陀さま
先頭を歩く語り部さんの説明が聞けるだけの位置をキープし、傘で手がふさがった歩きながらの写真撮影には苦労した。決められた場所以外立ち止まることがないのだ。
伊勢神宮・出雲大社と比べても古さにおいては引けをとらない伊太祁曽神社での昼食を念頭に、ただただひたすら歩き続ける一行と化す。途中雨脚は強まりカッパを着ずにはいられなくなっていた。柿の葉寿司が入った古道弁当「紀ノ川」でお腹いっぱいにした後、参拝にバスの車外へ。
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傘を脇に下ろし、「こうして耳を澄まして歩くと周囲のいろいろな音がよく聞こえる」
ひとつ傘で一緒に歩いていた学生時代の先輩が教えてくれたのを思い出す。
雨の音が、傘での囲いが聞こえるはずの音をさえぎる一日。
昼食後、ここから藤白神社までが遠い。そここそが「熊野の入り口」とかだ。
雨はますます激しくなっているが、疲れも悲壮感もない。ただまったく遊びがなく、ひたすらのコース消化には少しのゆとりが欲しい…。