ガラにもなくギター音楽祭に紛れ込んだ。音楽祭の独奏部門はコンペティションを兼ねていた。私の音楽的聴力もまんざらではないなと思い直した。それにしても音の増幅装置を使わないコンサートもなかなか良いものである。
去る9月10日(日)、札幌コンサートホールKitaraの小ホールにおいて「札幌市民芸術祭 ギター音楽祭」が開催されたので足を運んでみた。
音楽祭は、独奏部門に小学生が2人、一般の方が6人、そして合奏部門に5団体が出演した。その中で、独奏の一般部門は事前のオーデションを通過した6名が出演し、「市民芸術祭大賞」、「市民芸術祭奨励賞」の受賞審査を兼ねていた。
小学生の二人は兄妹のようだったが、どちらも専門の方の指導を受けているようで堂々とした演奏だった。特に小学校3~4年生らしい妹さんの演奏は将来性を感じさせる腕前と私には映った。
さてコンペティションを兼ねて行われた一般の部であるが、前述のとおり6名の方が参加された。年代は老若男女さまざまで女性が2名含まれていた。出演者はそれぞれが専門家に師事され、練習を積んだうえでの出演だったから、私に耳には甲乙つけ難く思われた。ただ、私が感じたのはただ楽譜通りに正確に演奏するだけではどこか物足りなさを感じてしまった。そこにどれだけ演奏者自身が情感を込めることができるかどうかが問われているのではないかと思われた。(私の言葉でいうと、演奏に味があるかどうか、ということなのだが)そうした観点で聴いたときに私は年配の方だった佐々木さんの演奏に二重丸を付けた。さらに若さに違わず技量も素晴らしく、それなりの味も感じさせてくれた那須さんの演奏にも注目した。出演者の中で倉田さんという方は、アマチュアミュージシャンとして数多くのステージに立たれ、ギター音楽祭にも数多く出演されていて注目される方だったようだ。しかし、私には難しい曲に挑戦した結果が技巧に走り過ぎてしまった感が強かったように思われた。
続いて合奏部門の5つの団体の演奏が披露された。出演は「札幌室内ギター合奏団」、「廣田ギターアンサンブル」、「渋谷環室内ギターアンサンブル」、「佐藤ギターアンサンブル」、「くさがやギターアンサンブル」の5つの団体だった。
※ 廣田ギターアンサンブルの写真がウェブ上で見つけることができました。
それぞれが日頃の練習の成果を発揮していたステージだったが、目立ったのが演奏者の高齢化だった。リード文で音の増幅装置を使わないコンサートもいいものだと私は記したが、あるいは若者にはそれが物足りないと感じられているのだろうか?もちろん中には38名もの大アンサンブルで演奏した「くさがやギターアンサンブル」には、小学生の姿も目立ったのだが…。若者たちが生の音楽の良さに気が付いてほしいと願わずにはいられなかった。
さて独奏部門のコンペティションの結果である。全ての演奏が終わりステージ上には審査を担当した7名の審査員が勢ぞろいする中で発表された。
「市民芸術祭大賞」は2名の方に票が入ったものの審査員の過半数に達しなかったために該当者なしとの発表だった。
続いて「市民芸術祭奨励賞」の発表だったが、ここで私が二重丸を付けた佐々木さんは過去にすでに奨励賞の受賞経験があることから対象外であるとの説明があった後に、受賞者は那須朱音さんと発表があった。私が注目した若いギタリストだった。それにしても私の音楽的聴力もまんざらではないな、独りごちしたのだった。
※ 高校生?あるいは中学生時代かと思われる那須朱音さんの演奏風景です。
那須さんはおそらく20代前半の方ではないだろうか?ウェブ上から彼女の6年前の写真を探し出すことができたが高校生時代の写真のようだ。まだまだ伸びしろがある年代である。若きギタリスト那須朱音として注目される存在となられることを期待したい。
ぼくが若い頃はすでにクラシックギターは下火でしたが、こうしてアマチュア演奏家がいて、コンクールを目指す若手もいることに頼もしさと嬉しさを感じます。
那須朱音さん、賢そうな女の子ですね。
楽器が上手な子は頭がいい、という法則があるのですが(ピアノ教師である妻の見解です)、まさにそのイメージのお嬢さんですね。
先が楽しみです。
そして、田舎おじさん様の音楽センスにも脱毛、いや、脱帽です!
きっと色々な音楽に触れて、耳が磨かれているのでしょう。
「目利き」という言葉がありますが、まさにそれですね、耳ですけど。
学生時代にギターを極めたしろまめさんは市民のギターオーケストラで奏でるなどということは考えないのですか?ステージに上がったベテランの方の姿を見るとき、一生の趣味があるっていいなぁとつくづく思います。
那須朱音さん、札幌のギター界のマドンナになる素材に思いましたよ。
雑食性の本領発揮で、これからもさまざまなジャンルのステージを楽しみたいと思っています。