足で、車で、地下鉄で、巡り巡った3日間。汗と涙(?)の枝垂れザクラ巡り物語である。何人もの人に尋ねながらようやく辿り着いたのに葉ザクラ状態だったり、思わぬ偶然から新たな素晴らしい枝垂れザクラを発見したりと、幾多の物語を紡ぎながら札幌市内の枝垂れザクラを巡り歩いた。
枝垂れザクラがエゾヤマザクラやソメイヨシノの開花より若干遅いという観察から、枝垂れザクラの満開時を密かに狙っていた。そこで近くの北海道神宮や円山公園の枝垂れザクラを何度か観察に訪れて、一昨日くらいからはある程度満足できる状態になったと判断し、順に巡り歩いてみた。
《北海道神宮の枝垂れザクラ》
※ 4月27日撮影
北海道神宮の枝垂れザクラは神門の外の直ぐ脇にある。その奥には「北海道開拓の父」と敬われている島義勇判官像が建っている。
枝垂れザクラは気のせいだろうか樹の半分に花が付いていないよう見えたのだが…。
《円山公園「パークセンター」前の枝垂れザクラ》
※ 4月27日撮影
パークセンター前の枝垂れザクラはまだまだ若く、成長途中である。年々大きく育っていることが分かる。公園管理事務所としては公園のシンボルとして大切に育てようとする配慮なのだろうか?樹を取り囲むように添え木をしているのが目に障る。あまりにも人の手が入っている枝垂れザクラはどうなのだろうか??
《中島公園「日本庭園」の枝垂れザクラ》
※ 4月28日撮影
私はこれまで中島公園の日本庭園の枝垂れザクラが札幌では最も素晴らしいと思っていた。27日の段階でほぼ満開と見たのだが、夕方だったことで光量不足だったので28日に行ってみたところ、すでに満開を過ぎていたようだ。残念ながら昨年のような鮮やかな姿を見ることができなかった。
《中島公園の水路上に咲く枝垂れザクラ》
※ 4月28日撮影
今回は日本庭園のよりむしろこちらの中島公園内の水路上の枝垂れザクラのほうが見事のように思えた。花の色あいも鮮やかで、水に映えていたように思われた。
《パークホテル前の枝垂れザクラ》
※ 4月29日撮影
妻にその存在を教えられた枝垂れザクラである。パークホテルの前面に小ぶりながら3本の枝垂れザクラがちょうど満開を迎えていた。
《北大「総合博物館」横の枝垂れザクラ》
※ 4月29日撮影
総合博物館の横には2本の枝垂れザクラがあるのだが、どうしたことかこの2本がどちらも樹高が高く、目線を上にしないと愛でられないところが残念であるが、今年も鮮やかに咲いていた。
《北大「情報環境推進本部」前の枝垂れザクラ》
※ 4月29日撮影
この枝垂れザクラは偶然だった。たまたま私のカメラのメモリーがいっぱいになってしまい「空き容量がありません」というメッセージが出たため、いつもは通らない通路を通って北大の構内に開店しているコンビニに向かっている時に偶然に目にしたのだ。2本の枝垂れザクラが並んで立っていたが、ちょうど満開時といった感じで、私が撮った今年の枝垂れザクラの中では最も見映えする枝垂れザクラとなった。
《旧軽川沿いの枝垂れザクラ》
※ 4月29日撮影
最後に車で手稲区へ向かった。まずは昨年も目撃した旧軽川沿いに咲く枝垂れザクラを見た。心持ち昨年より成長しているように見えた。このサクラの根元には「天然記念物 三春の滝桜」という木札が掛かっている。調べてみると、福島県三春町にある枝垂れザクラは1922(大正11)年に天然記念物に指定され、日本各地に滝桜の子孫樹が植樹されているということなので、木札の表示を信じたいと思う。
《松浦亨さん宅の枝垂れザクラ》
※ 4月29日撮影
このお宅を探すために、付近の住民の方3人にお尋ねしてようやく松浦宅前に行くことができた。実は、昨年私は前述の旧軽川沿いの枝垂れザクラを探して付近をあちこちと探している時に住宅街で見事な枝垂れザクラに遭遇したのだが、偶然出会ったその場所は記憶に残っていなかった。今回苦労して探し出したところ、昨年の記憶が蘇ったという次第である。
ところが、苦労して探し出したにも関わらず、すでに花の時期は過ぎてしまっていた。葉ザクラに近い状態だった。樹の幹のところには「糸桜 昭和58年移植」と書かれてあったが、樹自体は相当年数が経っているようで樹のところどころが切り取られていた。私が伺った時も、主人が新たに伐採した枝を整理されていた。
以上9ヵ所の枝垂れザクラを巡ってみたが、枝垂れザクラの魅力は何といってもその優雅さにあると私は思っている。さらには例え1本だけでも十分に鑑賞に堪える価値があるのではと思ったことから枝垂れザクラを追いかけてみた。私が追いかけたのは札幌市内の中でもほんの一部なのだろう。まだまだ札幌市内には立派な枝垂れザクラがあるのかもしれない。何かの機会に情報を得ることができたら、来年はそこも追いかけてみたいと思っている。