活動歴がいずれも35年を超える札幌市内のいわば老舗の吹奏楽団が一堂に会してのコンサートは豪華で、聴き応えのあるものだった。題して「第45回市民バンドフェスティバル」は多くの聴衆を呼び込み、華やかに開催された。
毎年、4月に開催されている「市民バンドフェスティバル」は、今年は一昨日28日(日)の夕刻、札幌コンサートホールKitaraで開催された。出演バンドは次のとおりである。
(演奏順 団名の後ろに記したのは創立年と団員数である。但し賛助出演は除く 註:プログラム記載されたものを参照した。数え間違いがあるかもしれない)
◇札幌青少年吹奏楽団 (1984年創立 47名)
◇サッポロシンフォニックバンド(1971年創立 65名)
◇札幌ブラスバンド (1987年創立 71名)
◇札幌市民吹奏楽団 (1961年創立 33名)
◇札幌吹奏楽団 (1970年創立 30名)
◇札幌シティバンド (1982年創立 31名)
◇札幌ユース吹奏楽団 (1978年創立 51名)
団員数に違いはあるものの、すでに半世紀を超えて活動しているバンドも目立つ。
また、プログラムにはそれぞれのバンドの指揮者の略歴が記載されていたが、どの方も素晴らしい音楽的なキャリアの持ち主である。そうした方々の指導を得ながら各団では日々研鑽されているものと想像される。
それぞれバンドは2~3曲を演奏したが、どのバンドも日ごろの修練の成果を発揮されたステージだったと私はみた。ただ、団員数の違いがやはり聴こえてくる音に違いは感じられた。果てして吹奏楽の場合は、どれくらいの奏者の数が適当なのだろうか?聴いている私からはやはり60名を超えるバンドが紡ぎ出す厚みのあるサウンドは迫力が一段と違って聴こえたが…。
各バントの自己紹介の欄には「団員募集!」の表示が目立ったが、やはりどのバンドもボリュームのある音を求めているのかな?と思われた。社会人としてバンドに加入して活動するにはさまざまな制約があるのではと想像される。そうした制約を乗り越えて音楽活動をされている方々は本当に素晴らしいことだと思えるし、ぜひとも生涯の趣味として継続されることを願っている。
フェスティバルの最後には、各バンドから選抜されたメンバー110名による演奏が披露された。そこで披露された曲目は…、
◇R.シュトラウス/「2001年宇宙の旅」
オープニング「ツァラトウゥストラはかく語りき」より
◇A.リード/吹奏楽のための序章「ラッシュモア」
◇さだまさし・宇崎竜童・谷村新司/ジャパニーズ・グラフティⅨ「いい日旅立ち」
2曲目の「ラッシュモア」は、アメリカ・サウスダコダ州にある岩山の名前で、その岩肌にアメリカの歴代の4人の大統領の顔が彫られていることで有名な岩山です。今回のフェスティバルのプログラムの表紙を飾っているのはそうした意味が込められているということです。
さて、ここからは全く個人的なことであるが最後の「ジャパニーズ・グラフティⅨ」を聴いた際に私は不覚にもウルウル来てしまった。それは1970年代を駆け抜けた歌手・山口百恵のヒット曲が次から次へと演奏されたからだった。1970年代というと私はまだ20代後半である。当時は和洋織り交ぜてTVは歌番組全盛だった。山口百恵はその中で、いわゆるアイドル歌手の一人と目されたが、その人気は絶大だった。だれもが彼女を好ましい目で見ていたのではないかと思う。もちろん私も…。
当時の多くの日本人が山口百恵を見る目が私の中では突然、今の大谷翔平を見る目とリンクしてしまったのである。山口百恵と大谷翔平…、一見何の脈絡のない二人だが、私の中ではどこか繋がってしまうのである。そんな思いを明日綴ってみようかな?と考えている。
「市民バンドフェスティバル」がとんでもないところに飛び火してしまったが、フェスティバルで忘れてはならない存在の方がいる。それは司会を担当した俳優の金田一仁志さんである。彼のウィットに富んだ司会ぶりがフェスティバルを一層楽しく豊かなものにしてくれたことを付記しておきたい。