以前から西区オーケストラについては「いいなぁ~」という思いを抱いていたが、昨夜の定期演奏会もその期待を裏切ることはなかった。総勢75名の奏でる優しい音が私を癒してくれたひと時だった。
昨夜(4月27日)、札幌コンサートホールKitaraにおいて「西区オーケストラ」の第36回定期演奏会が開催され参加した。
今回の演奏は、ブルックナー、ウェーバー、ドヴォルザークといった比較的メジャーな3人が取り上げられた。その曲目は…
◇A.ブルックナー/行進曲ニ短調
◇V.ウェーバー/クラリネット協奏曲 第1番 ヘ短調 作品73
第1楽章 Allegro
第2楽章 Adagio ma non troppo
第3楽章 Rondo Allegretto
クラリネット 河野泰幸
〈アンコール〉V.ウェーバー/魔笛の射手より 狩人の合唱
◇A.ドヴォルザーク/交響曲 第5番 へ長調 作品76
第1楽章 Allegro, ma non troppo
第2楽章 Andante con moto
第3楽章 Andante con moto, quasi l’istesso
Tempo Allegro schezando
第4楽章 finale: Allegro molto
〈アンコール〉J.ブラームス/バンガリー舞曲 第4番
※ 写真はプログラムから拝借しました。
西区オーケストラは1曲目のブルックナーから快調だった。短い曲だったが、行進曲風の軽快な音が心地良かった。
圧巻はクラリネット奏者の河野康幸氏との共演だった。オーケストラ単独ではなく、ソロの演奏と共演する(ソロ演奏を下支えする)というのはオケの単独演奏以上に呼吸を合わせる難しさがあると思われる。それを西区オーケストラは見事にこなしているように私には聴こえた。
河野氏との共演に力を使い果たしたのだろうか?さすがに3番目のドヴォルザークではややスタミナ切れが見え隠れしたところもあったが、見事に演奏し切ったところに西区オーケストラの底力を見た思いだった。
いったい何故西区オーケストラが私たち聴衆を惹き付けるだけの水準を維持しているのだろうか?プログラムを拝見すると、西区オーケストラは1986年に西区内の音楽愛好家が集いアンサンブルとして発足したそうだ。以来、愛好者が増えるに従い名称も変更され、現在の「札幌西区オーケストラ」となったという。おそらく今では西区を中心としながらも札幌全域から団員は集まっているのではないかと想像される。
その第一の要因は、指揮者の鎌倉亮太氏の存在があるのではないか?と私は見ているのだが…。鎌倉氏のきめ細かな指導、そして統率力が団員たちの力量を高め、現在の西区オーケストラを創っているのではないかと私は思っているのだが…。コンサートにおける鎌倉氏の指揮を見ていると、そのキレの良さが際立っている。見事に指揮と演奏が融合しているのだ。
※ 指揮者の鎌倉亮太氏です。
そして団員の皆さんである。団員の方々はどのような音楽的なキャリアを積まれた方々なのだろうか?それはおそらく千差万別だと思われるのだが、良い意味で互いに影響しあっているのではないだろうか?
西区オーケストラで目立つのは女性団員の方々の多さである。しかもある程度人生経験を積んだ方が多いように感じられる。おそらく彼女たちが団員全体を温かく包んで和やかと厳しさがほど良くミックスされた練習風景が展開されているのではと想像される。
期待していたとおりの演奏会を披露してくれた西区オーケストラの定期演奏会だったが、これが無料で公開されているのだ。一緒に聴いた友人たちと「いったいどうしてこのような演奏会が無料で実施できるのだろうか?」と話したのだが、門外漢にはとんと分からない。私たちにとっては有難いことだが、私にとって例え有料となっても駆け付けたい思いを抱かせてくれるオーケストラの一つである。
西区オーケストラの次回の定演が来年4月26日(日)実施とプログラムに予告が載っていた。もちろん来年もぜひ駆け付けたいと思っている。