電光石火の移籍劇である。過日、チーム内で暴力事件を起こし謹慎中だった中田翔選手の巨人軍への移籍が決定したと報じられた。移籍劇の裏には日ハム・栗山監督と巨人・原監督との信頼関係があったとされる。果てして中田翔は再起できるのか?
本日、「中田選手、巨人へ移籍」のニュースが駆け巡った。球界情報に通じていない私はちょっと驚いた。意外にも早い決着だったからだ。
中田はご承知のとおり東京オリンピック期間中の8月4日に函館千代台公園野球場で行われたエキシビションマッチ・DeNA戦の開始前、中田が同僚に対して暴力行為を行い、球団は試合中に球場からの退場と自宅謹慎を命じて調査を実施し、無期限の出場停止処分中だった。
このニュースに接したとき、私はつくづく中田選手に嫌気がさしたし、そこまで放っておいた栗山監督、球団に対してさえ不信感を抱いてしまった。野球少年たちにとってプロ野球は憧れの世界であり、少年たちのだれもが将来はプロ野球選手を目指したいとする世界である。その世界が暴力に支配(とは多少オーバーだが)されているとしたら…。日本ハムファイターズのイメージはガタ落ちである。
中田選手について、私は以前からどうしても好感がもてなかった選手だった。それは一つには外観である。よく言われるように金髪に派手なネックレスをじゃらじゃらさせている姿はどう考えても球団の顔に相応しくないと考えていた。そして思うように結果が出なかった後の不貞腐れた態度は見ている方の気持ちまで落ち込ませるものだった。
とは言いながら、年俸3憶数千万円もの給与を稼ぎ出すほどの活躍を続けてきた選手であったことも間違いのない事実である。その資質を栗山監督は惜しんだのだろう。ある意味で栗山監督の日ハムでの10年は中田を主軸の4番に据えての二人三脚の10年とも言えるものだ。その栗山監督が「中田がこのままで日ハムに復帰することは難しい」と表明し、中田の日ハムでの居場所がないことを示唆した。ここから事態は動いたようである。
結果、巨人は交換要員なしの無償トレードで中田を獲得することになった。野球評論家の高木豊氏は「一番良い形ではないか」と評した。私も同感である。それにしても引退の危機さえ囁かれていたのが、一転20日に謹慎解除となり中田としては本当に「助かった!」という思いだろう。中田がこれまでの態度を真摯に反省し、態度を改め巨人軍の中田として再起してほしいと願う。
一方、日ハムは中田の存在であるいは委縮していたかもしれない若手が伸び伸びとプレーし、その能力を発揮してほしいと期待したい。
ここからは私の独断と偏見である。今シーズンで最後と言われている栗山監督であるが、ぜひとも日替わりメニューのような選手起用を止めてほしい。素質充分の王柏融(ワンボーロン)選手と野村祐希選手を辛抱強くレギュラーで使ってほしいと思う。辛抱強く起用し続けることで必ず結果を残す二人だと信じているからである。
※ 王柏融選手
※ 野村祐希選手