さてアナフィラキシーの場合におこる呼吸困難では上気道病変(喉頭浮腫)が有名である。しかし実際は末梢気道(気管支平滑筋)の攣縮も頻度は高い。この場合は気管支喘息の聴診所見とまったく同様の呼吸音を聴取するので、この症例ではアナフィラキシーによるものなのか風邪薬による小児喘息の再燃なのかの判断は難しい。さて治療はどうするか? 1.軽症なのでこのまま帰宅させる 2.エピネフリン0.3mgの大腿部筋注 3.気管支拡張薬の吸入 4.吸入不要で抗アレルギー薬の処方のみ。 えーと、あっ、ウチは無床診療所なので「入院」という選択肢はありません。そうですか、それでは 5.入院設備のある他院へ転送 という選択肢もいれておきましょう。自分が病院勤務の時はちょっとでも心配な症状があればすぐに入院させていた。そのほうが安全なのである。しかし今は無床診療所なので厳密に入院か帰宅かの判断を求められた場合、結構勤務医時代よりも開業医での判断はしんどいのである。