さて治療の選択であるが正解はすべてアリであるといえば言えるかもしれません。十分水分を取ればこのまま帰宅させてもたぶん問題はないと思いますが、このまま返すとなると自分が心配で枕を高くして寝られません。自分の安心のために?目の前で患者さんの呼吸状態が少しでも改善傾向をしめすのを確認したいところです。したがって1.と4.は効果確認ができないので×となります。エピネフリン筋注はアレルギーでも気管支喘息でも適応にはなりますが、今は喘息発作の第一選択にあまりエピネフリンは用いません。しかも0.3mgの筋注は重篤アナフィラキシーショックの用量ですので、この軽症状態でこの患者さんに投与したら、心臓バクバク、血圧は上昇し、「気持ち悪い、頭いたい」といって嘔吐するでしょう。たぶん患者さんには嫌われてもう二度と通院されなくなります。とうことで3.のメプチン吸入をさせたらwheezingは消失しました。ああよかった。そして念のため抗アレルギー剤の内服も処方しましたが。あっ、他院へ転送入院という選択肢ですが、それもいいと思います。ただ全身状態からするとover triageかもしれません。転送先の病院で対応した先生が病院管理者であれば喜んで入院を受けてくれるでしょうが、当直がアルバイトの先生なら「この忙しいのに、こんな軽症、送ってくるな」と怒り出すこと必定です。ここのところまで見極めないと転送判断も難しいです。ああ開業医は辛い。