それから自分は転勤となり根津のマンションを引き払ったのでまったく談志師匠と顔をあわせることはなかった。それから10年くらいしただろうか、TVで食道がんの内視鏡手術をしたとの記者会見があった。しかしその場で喫煙するは酒はやめねーよとのコメントをするはで、まさに自分のスタンスを崩さない豪放磊落な態度であった。まあ昔、政治の世界でもその天衣無縫な言動で失脚したくらいである。日常を「隣の八つぁん、熊さん」の調子で貫いていたようなものなので、きっと本人は「失脚」とは思っていなかったろうに。徹子の部屋でのコメントであるが「俺ぁ~別に客を楽しませるために落語やってるんじゃないよ。俺が勝手気ままに喋っているのをたまたまそこにいる客が喜んでくれちゃってるだけなんだろう」といっていた。まあこれは嘘であろう。このコメントも照れ隠しか落語家一流の洒落であると考えられる。