これは別に患者本人が介護度公開を許可しなかったのではない。患者本人が種々の書類に自らサインをしなかっただけの話である。代理人のサインではだめなのだそうだ。しかし一人暮らしの認知症のお年寄りも多い。自分で書類に目を通し納得してからサインできるような方はこの介護保険にはさほど多くはないのではないかとも思う。したがって本人ではなく代理人のサインの場合は、我々医師に対して業務上必要な情報ですら「便宜」を図ってもらえずガツンと封印されたままなのである。担当部署に確認しようとすると「家族に聞いてください」とか「ケアマネージャーが知っていますのでそちらに聞いてください」と鉄壁なまでの個人情報保護なのである。我々医師も法律で厳しく個人情報の秘匿義務が明記されている。まさに警察などの公務に匹敵するものと考えていたが、どうやら役所にとって医師なんぞはそうはとられていないようである。まるで個人情報保護法施行時のビクビクさ加減がしっかりとカブトガニやアンモナイトのように生き残っているような印象である。<o:p></o:p>