吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

住所誤入力、救急車遅れる…死亡男性の遺族提訴 その3

2018年05月29日 05時45分51秒 | 日記
 さてくだんの訴訟の件である。「10分遅れたから傷病者は助からなかった、住所誤入力のせいだ」というのが訴訟理由だそうだ。10分遅れたら助からないって、どうやって司法上で証明するの? こんなの医者だってわかるわけない。ましてや弁護士なんぞに証明なんてできるわけない。
 でもどこからか「10分早かったら100%助かった」と言い出す医者を連れてくるのだろう。結構、救急医療しらない医者を引っ張ってきて、この役をやらせる弁護士っているのだと思う。

 まずこの傷病者の心筋梗塞であるが過去に何回か発作でも起こしていたものと推測できる。いわばハイリスクグループである。心臓発作を繰り返していたとすると結構、重症な発作を今回起こしたものとも思われる。
 だとしたら10分早かったとしてもそれなりに重篤発作であれば助かったかどうかは難しい。
 また病院に10分早く着いたとしても、時間帯にもよる。深夜帯や日中でも医師が手一杯ですぐに対応できなければそこでも処置が遅れる可能性がある。
 現場到着10分遅れが直接の死因に繋がったかはあまりにも不確定要素が多すぎて証明するのは無理である。
 しかし一方、この10分間の遅れは確かに死亡につながったかもしれない原因の一つである可能性も否定しきれない。