吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

認可外保育施設“うつ伏せ死” ホント? その3

2018年05月17日 06時10分20秒 | 日記
 今回のネットニュースでは「食べたものを吐いてのどに詰まらせたことによる窒息死でした」と、さも死亡原因を特定したような書き方をしている。これはうつぶせ寝ならばありえないのでは?
 通常、意識のない人が上向きに倒れている時に嘔吐すると気道を塞いで窒息する危険がある。
 なので昏睡体位(回復体位ともいう)といって、体を横向きにして顔を下に向けさせる体位をとらせる。すると重力で吐物が気道に詰まることなく外に排出される。
 今回上向きではなくうつ伏せである。横向きで顔を下向きにさせる体位と類似する。
 少なくとも「上向き寝」よりも吐物による気道閉塞のリスクは低いはずである。
 
 しかしこの文面では吐物による気道閉塞が原因と断定したような書き方である。これが原因と司法が判断したら、今後、保育園では上向きでも、うつ伏せでも寝かせられないことになる。
 もっとも、うつぶせ寝は「司法の世界」ではすでに禁忌なので原告の勝訴はみえている。
 でも原因が吐物による気道閉塞・・というのはどうやって因果関係を証明するのか? かなり無理がある。

 ご両親の無念さはよくわかる。よく原告が敗訴すると「真実が明らかにされていない」と遺族や関係者はいうが、でも勝訴したとしても、勝訴イコール真実の証明にはなっていないことを理解してほしい。今回、死因と体位との因果関係など証明できるとは思わない。