吉田クリニック 院長のドタバタ日記

日頃の診療にまつわることや、お知らせ、そして世の中の出来事について思うところ書いています。診療日には毎日更新しています。

大阪梅田の自動車暴走事故 その8

2016年03月12日 05時32分33秒 | 日記
 自身が「健康であること」を客観的な検査などで証明し、かつその状態をずっと維持しておくことも難しい。それは医療機関できちんと指導なりを受けないと維持できない。
 自己判断での食事療法、ダイエット療法、サプリメント摂取は極めて危険なものもあるのである。

 大昔、鈴木その子さんという方がいた。この方は美白の女王とよばれ、ダイエット法も発表した。この人のダイエット法は「ごはんや麺類は好きなだけ食べなさい。ただし油脂、脂質は絶対にとってはいけません」と言っていた。
 しかし最近の流行りである糖質制限ダイエットでは「ごはん麺類など炭水化物はぜったいとってはだめ」と言っている。

 この正反対のダイエット法は一体何なんだと言いたい。つまりどちらも両極端なのである。もちろんそれが原因というわけではないが、この急死した運転手さんは糖質制限ダイエットで体重を減らしていたらしい。

 こうなるとどちらも信用できないのである。ここであえて食事に関するダイエット法については書かないが、いずれにせよ健康であるかどうかは自分の偏った思い込みでは危ないのである。

 えっ、私? 私は自分が健康体であるなどとはとてもとても思っていません。そこまできちんと精査しているわけではないし、暴飲暴食もひどい・・・、あっ、自慢にもなりませんがwww。

大阪梅田の自動車暴走事故 その7

2016年03月11日 05時17分07秒 | 日記
 昔、地方都市の病院の外科に勤務していた時のことである。
かなり進んだ進行がんの方の病状を奥様にお話しした時のことであった。

 奥様は「え~っ、そんなひどい状態の癌なんですか? そんな馬鹿な・・・、この人は健康が自慢だったんです。『病院に行ったことなど今まで一度もない』のが自慢なくらい健康なんですよー」と。

 さてはたして病院に行っていないことが健康なのか? 病院での健診を毎年受けたことがなければ健康かどうかはわからないと思うのであるが・・。これは笑い話でもなんでもない。

 自分自身に病気が一つもなく、本当に健康かどうかを証明するにはかなり大変な作業を要するのである。ただ単に自分に現在何も症状がないことで「自分が健康である」と思うのは極めて危険であると思うのである。

 そのために我々開業医は区民の健康維持のため「区の健診、がん検診は毎年受けましょう」といつも言っているし、その方策をすすめるため自治体から受診補助金もおりているのである。

 いたずらに不健康を装う必要もないが、健康を過信するのも危ないのである。

大阪梅田の自動車暴走事故 その6

2016年03月10日 05時46分10秒 | 日記
 さてこの乗用車を暴走させた運転手であるが、自身のブログでは精力的でありマラソン大会にも出場し、かなり自分はエネルギッシュで健康的であることを強調していた。

 果たしてそうなのであろうか? かなりの肥満体型で最近急激にダイエットをしたとも聞いた。また以前の食生活も、ラーメン、ハンバーガー、焼肉、麺類といったものを毎日とっていたとネットで見かけた(それが本当なのかはネット情報なので真偽のほどは定かではないが)

 もちろんその人が健康であるということを他人が信用する術(すべ)は本人からの「自分はどこも悪くない。健康ですよ」という自己申告のみである。
 
 TVのニュースでも「こんな病気のない健康な人がいきなりこんなことになるんですかね?」といかにもこの人が健康体であることが前提のようにコメントされていた。極めてこれには違和感を覚える。

 自分が健康かどうかは、例えば毎年の健診で異常値がなく、そしてあらゆる癌検診を受けてとりあえず異常値がなければ、「大体1年間」は健康であると言えるかもしれない。
 しかしどうやらこの運転手はかなりの肥満体で急激にやせたとかいうことであり本当に「病気は一つもなかった」と言い切れるのであろうか?

 しかもなにやらここ1か月の間に複数の医療機関受診しており高血圧があったとのことである。やはり・・・と言ったところか?

大阪梅田の自動車暴走事故 その5

2016年03月09日 05時29分50秒 | 日記
 「そんな・・一体、救急隊員に何をさせるというのですか? 救急隊員にとって観察・処置などは業務以外ことであり、ただ黙って傷病者を病院に搬送さえすればいいのです。そして病院もあれやこれやいわないでただ黙って傷病者を受けてくれればいいのではないですか? 勉強会だなんて・・・」 

 もちろん救命士制度が始まる数年以上も前の話である。少しでも患者の状態を現場で把握してくれれば搬送先の病院を選択できるのに・・とだれでも思うようなことはその時代の消防の制度にはそぐわなかったのである。
 当時はただ傷病者を病院に搬送するのが業務で、傷病者に処置などとんでもないという時代であった。まあ、そのように言われたことをそのまま書いたが、実際はもっときつい口調で言われた。

 勉強会開催の前に、ようやくまずその第一歩としてこぎつけた「顔の見える関係」構築ということで地元消防との懇親会の席上のことであった。
 お酒も入っていたのであろう。かなりきつい消防さんの本音をきかせられたのである。

 結局、地元消防との定期的な救急事例検討会の話は実現することはなかった。
 そして「誤解されるといけないので消防は特定の医療機関さんとはお付き合いすることはありません」とまで言われた。体よく振られたのである。

 現在の救命士の活躍をみるにつけ隔世の感がするのである。

大阪梅田の自動車暴走事故 その4

2016年03月08日 05時37分53秒 | 日記
 昔、自分は救命士養成所で講義を担当していた。この心タンポナーデの身体的所見は試験の「山」ですよと強調して毎年講義したところである。これだけ病名の早い発表に至ったのはもちろん初療に携わった医療関係者の尽力もさることながら、現場で初見の救命士がこの「身体的異変」に気が付いてくれて、しかるべき施設に搬送してくれたものと勝手に解釈しているのである(結果的に傷病者救命に至らなかったのは残念であるが)。
 平成4年4月に救命士が誕生し業務を開始した。その頃より救命士養成所で講義を担当してきた自分にとっては病院前救護の充実はとても嬉しいものである。

 それより以前の昭和の話である。某地方病院救急部勤務中のこと。病院前救護の充実をはかるべく、地元の消防と定期的な勉強会をもとうと画策したことがあった(もちろん自分からの自発的行動ではなく当時の上司からの業務命令であったが)。しかし最初は「救急隊員には時間的な余裕もありません」「予算が組めません」とヤンワリ消防側から断られていたのであるが、あまり何回も勉強会の申し入れをしたところついに消防の本音が出たのである。

大阪梅田の自動車暴走事故 その3

2016年03月07日 06時20分17秒 | 日記
 救命センターに勤務していた頃には何例かこの大動脈解離による心タンポナーデによるショックで搬入される患者も診療した。通常、ショック状態とは血圧が低く、手足が冷たく白くなる。そして冷汗著明で体表面の血管は虚脱して見えることはない。ところがこの心タンポナーデによるショックは異なるのである。通常は頸静脈は虚脱して見えなくなるのであるが、だれが見ても分かるくらい累々と膨らんで怒張するのである。ショックなのに頸静脈の怒張・・・これは心タンポナーデしかないという連想は救急救命士国家試験でも、毎年当たり前のように出題されるヤマなのである。今回この事件において原因病名(胸部大動脈解離)がかなり早い段階からすでにマスメディアに発表されている。通常、発表に至るまでには間違いがないようにかなり時間をかけて確認してから発表するので2~3日かかることも多い。しかし病名発表は事故当日で、かなり早く数時間後位だったと思う。なぜこんなにも早かったのであろうか?

大阪梅田の自動車暴走事故 その2

2016年03月05日 05時24分49秒 | 日記
 TVでコメントしていた医療関係者はみな「胸部大動脈解離で・・」といっていた。確かに原因はそうである。いきなりこれでショックにもなる。

 しかしショックにはなるが、異変を感じて路肩に停車していたにもかかわらずパーキングブレーキすらかける余裕がなかったのは、急激に意識を失ったからであろう。程度にもよるが心タンポナーデではいきなり発症後、僅か数秒で意識消失にまでは至りにくいと思うのである。

 数秒、あるいはものの1秒でもあれば意識消失に至る病態は、大動脈解離が同時に順行性に進み頸動脈起始部を解離させ脳への血液循環が絶たれたことが原因と推察する。

 脳への血液循環が数秒でも立たれれば意識は瞬時に消失する。格闘技などで首を絞め両側の頸動脈を抑えて脳血流を遮断させ一気に失神させる所謂「落ちた」状態である。

 この事例はまずパーキングブレーキに入れる時間的余裕すらなかったのは、瞬間的に意識消失したからであろうと考えるのである。
 そしてその後に心停止に至ったのであるがたぶん心停止はもっとあとであろう。事故直後かあるいは救急隊到着時はまだ心拍動はみられていたかもしれない。

大阪梅田の自動車暴走事故 その1

2016年03月04日 06時26分08秒 | 日記
 2月25日の昼、大阪梅田の繁華街の事故である。意識を失った運転手の車が暴走し歩行者をなぎ倒しながら歩道を走行、花壇に衝突してようやく止まった。これで数名の方が亡くなっている。この運転手も死亡されている。
 どうやら死因は胸部大動脈解離のようである。一挙にこの疾患名が有名になった。

 でも救急医療をやっていると時々見かけるのである。特にそれほど珍しいものでもない。死因は外傷が原因ではなく運転中に突然発症して頓死したとのことである。

 大動脈の解離が心臓に向かって進めば心臓の周りを覆う袋(心嚢)の中に出血し心臓の動きを外側から押さえつけるのであるからショック状態(心タンポナーデ)となる(所謂「閉塞性ショック」)。

 でも最初に意識を失った原因は閉塞性ショックからではないと思うのである。

住所表示プレート その3

2016年03月03日 06時42分04秒 | 日記
 こんな盗んで捕まるような「大事」なプレートなのであろうが、剥がしても、現場の片隅に放置しても、また新居の植え込みに立てかけておいても行政から何のお咎めもないし、新たなプレートが住居に貼られるというような行政の動きもないのである。
 ここまで「ぞんざい」に扱っても私は逮捕されていないのである。

 父の代の診療所にいつ頃なのかわからないが、貼られていたこのプレートはかなり古くすでに錆びかけている。それを植え込みに放置したままという扱いは、「さあ誰でもいいから持って行ってくださいね」に等しい扱いである。
 持っていくと捕まるくらい大事なものであれば、自分はこのプレート様をどう扱ったらいいのか分からなくなってきた。

 もともとは自治体が勝手にネジではめ込んでいったものである。 その管理責任は自治体? それとも貼られている住居の世帯主? 
 もしかしたら自分の手も後ろに回るんだろうか? あっ、一応世帯主は自分の母親のものなので、大ごとになってうちの老母が警察にしょっ引かれてしまうのかと思ったら気が気ではないwww(爆)。

住所表示プレート その2

2016年03月02日 05時57分03秒 | 日記
 しかも、手に入れても何の利点もないと思われるものを窃盗したということで、そこで逮捕にまで至るというのはどう考えても不可解なのである。
 何かこの大学生はもともとマークされていて、それで別件逮捕ということなのだろうか? 田舎から出てきた若者が原宿にきたというお土産に『原宿の住居表示のあるプレート』を持っていくというのなら、(もちろん許されることではないが)、まだmotivationは分かる。
 しかし何やらこの住所表示プレート窃盗による逮捕というのはどうも何か裏がありそうな気がする。

 なぜそう思うのかというと、自分の話であるが、父がなくなり診療所を建て替えるときに、もともと診療所の外壁に貼ってあった住所表示プレートは工事関係者によって剥がされたのである。
 そしてそれは工事中も現場の片隅に置かれて通行人に表示し見えるようにしていたのである。

 そして数か月後に新診療所が完成した時もその剥がされたプレートは玄関前の植え込みに置いてあり、以後そのままの状態なのである。
 もちろんネジで固定などしていないが8年以上の間、盗まれずにここに立てかけられたままなのである。
 つまり盗むと逮捕されるようなものを「ぞんざい」に扱っているのである。

住所表示プレート その1

2016年03月01日 06時32分23秒 | 日記
 20歳の大学生が、複数の地方自治体へ爆破予告のメールを送り、威力業務妨害で逮捕された。このような目的のない愉快犯は誠に人騒がせであり、性質(たち)が悪い。

 今回の話はこの爆破予告ではなく、この大学生の前歴である。最近、別のことで逮捕されたというのである。それは各街角には、そこの住所が書いてある「住所表示プレート」が貼ってある。これはその住所をたよりに訪問する人にとってはありがたいものである。その大学生は、この住所表示プレートを盗んだということで逮捕されたというのである。

 不思議なことは、この住所表示プレートを手に入れてなにやら利点があるのだろうか?ということである。大量に窃盗して廃品回収業者に再生用金属として売るのか?、あるいは収集マニアの世界が形成されており、そこで売買されるのか?等いろいろと考えてしまうのである。鉄道関係の表示板プレートなら高い値がつくのも分かる気がするが、街角のいたるところにネジで留めてある住所表示プレートは手に入れて何の利点があるのだろうか?
なんだかなー?