津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

日本橋駿河町由来記

2011-08-21 10:57:20 | 書籍・読書

 昭和42年発売の「日本橋駿河町由来記」を手に入れた。駿河銀行(現スルガ銀行)系の駿河不動産が「東京駿河ビルディング」の竣工落成にあわせて発行した、非売品であり私が手に入れた本には3624という数字が打ち込まれていた。

 日本橋駿河町の名は江戸開府以来のものだそうだが、家康に従い駿河出身の人々が此処に居住したことに由来するらしい。駿河銀行の初代もまたその社名が表す通り駿河の人である。地元で銀行業を興し名をなし東京日本橋に進出して、ビルディング建設に至ったというものである。
そして其記念事業としてこのような書籍が生まれたことは、誠にありがたいことである。

 611頁に及ぶものだがその内容は多岐に渡り、江戸開府以来の日本橋界隈の発展の有様をつぶさに知ることが出来る。

       駿河町について             岸井良衛
       日本橋私記                池田弥三郎
       日本橋志                  木村毅
       日本橋の経済史            土屋喬雄
       日本橋諸相
           ・日本橋界隈と芝居       河竹登志夫
           ・浮世絵の日本橋        鈴木重三
           ・遠い明治の日本橋       谷崎精三(谷崎潤一郎弟)
           ・魚河岸春夏秋冬       永井龍男
           ・文学の中の日本橋       野田宇太郎
           ・日本橋川の流れ        日比谷 京
           ・日本橋建築散歩        村松貞次郎

 このような錚々たる方々が執筆されており、今後再びこの様な内容の充実した史書が発刊されることは無いのではないか・・・良い本を手に入れた満足感に浸っている。

 本の最後尾に「日本橋」の親柱にある橋名盤の拓本が添えられていた。関係者の了解を求めて奔走された結果のことで、これとて今後は不可能ではないかと思われる。いわずと知れた最後の将軍慶喜の筆によるものである。これまた感激の付録であった。

 読了するにはいささかの時間を要するが、楽しみな時間を与えてくれる本であることは間違いない。

コメント
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