細川護熙様の御祖父・護立候は細くすらりとした長身で、まさに殿様然としたご風貌であって、皆さんが親愛をこめて殿様とお呼びしていたようだ。
私の祖父はながく家扶としてお仕えしていた。
護貞さまのお話によると、秩父宮・高松宮が護立候のことを「殿様」とお呼びになったらしく、この辺りからのことかもしれない。
少年期から青年期に当たっては、身体虚弱で自ら長生きしないのではないかとご自身で思われていたようだ。
そして出会われたのが、白隠禅師の著「夜船閑話」であると自ら語られている。
臨済宗中興の祖とたたえられる江戸中期を生きた白隠も、少年期は病気がちであったらしいが84歳の長寿を保った。
その健康の著ともいえるのがこの「夜船閑話」だが、読んでみるとなかなか面白く現代人にも相通ずる。
この著にふれられて護立さまは健康を取り戻され、白隠の没年を上回る89歳の長寿を得られた。
この白隠の著を以て健康の指針とされたというのは如何にも「お殿様」らしいと思うが、「夜船閑話」ではいわゆる「腹式呼吸」や「穌(チーズ?」の効用が解かれているのが現代的で面白い。
護立候がチーズがお好みであったかどうかは、残念ながら承知しない。