津々堂のたわごと日録

爺様のたわごとは果たして世の中で通用するのか?

■初物の苺は三齋公へ進上するのが恒例

2024-04-09 06:27:09 | 歴史

 寛永六年四月九日の小倉における奉行所日帳にある記録である。
土手廻りに苺が採り入れ時期になっていることから、加々山主馬(可政)が担当である御掃除方の頭・上林甚助に、採り入れの願いを出してきたので許可した旨を奉行所へ報告したら、お叱りを蒙ったらしい。
土手の「初物の苺は忠利公が三齋公へ進上するのが恒例」であるから、主馬に初物を許すのは甚助の落度で沙汰の限り(=言語道断)であるというのである。
「主馬が進上しておれば、忠利が二番目になるではないか」というのがなかなか面白い。

   上林甚助より使ニて申越候ハ 土手廻之いちごう時分も能御座候御取せ候而可然存候 左様ニ御座候ヘハかゝ山主馬殿より
   先日取せ可申由被仰候間各様へ御尋可申と存候つれとも 其砌すきも無御座 又各様へ主馬殿より御尋候而も被仰越候哉と
   存とらせ申候 いま(ほと)時分ニて御座候間御とらせ可然由申候間いつもはつをとらせ候而 三齋様へ上申候ニ主馬より
   被上候ヘハ殿様より被進候ハ二番ニ成申候 主馬所ヘハ遣候儀ハ甚助越度にて 三齋様へ 殿様より御上ケ候てのち主馬
   より上候てこそ可然存候ニ主馬より上候てのち 越中様より御上候とハ成かね申儀ニ候 さたのかきりにて候由返事申候事

 このような話は、柿や山桃などについても同様な話がある。すべからく領内にある者は殿様の所有物であり、勝手に採る事はできない。
「苺」とあるが、今日のような粒の大きいものではなく、野イチゴだろう。旧暦の4月と言えばまさに採り入れ時であろう。

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