Sightsong

自縄自縛日記

バール・フィリップス@歌舞伎町ナルシス

2012-10-22 01:02:51 | アヴァンギャルド・ジャズ

歌舞伎町のナルシスに足を運び、バール・フィリップスのベースソロを体感した。何しろ、1997年に同じ場所で聴いて以来、15年ぶりである。

バールさんが近くに座っていたので、少し話をした。

いま使っているコントラバスは6ヶ月前に入手したもので、運搬に便利なようネックを取ることができるという。飛行機でも、カーボンファイバー製の良いケースに入れ、荷物として預けてしまうそうだ。曰く、チャーリー・ヘイデンなんかは隣りのシートに置くけどね、だとか。

また、1996年か97年に、法政大学でリー・コニッツと共演したときに観た話をすると、あれは1ヶ月前に急に呼ばれて行ったんだよ、あちこちの会場でコニッツと共演したよ、と。そのときのコニッツは、サックスを吹きながら叫んだり、サックスをひっくり返して朝顔の方から息を吹き込んだりと、演奏がはみ出ていてとても愉快だったのだ。


ジョン・サーマン+バール・フィリップス+ステュ・マーティン『The Trio』に書いてもらった97年時と今回のサイン


15年ぶりだと話したらそれを書いてくれた、今井和雄との『Play'em as They Feel』

演奏は休憩を挟んで2セット。前半はピチカート中心、後半はアルコ中心だった。

個性と同義語の匂いが漂ってくる音色は、本当に美しい。至近距離で、弦の振幅を見つつ、その響きを味わうという至上の体験だった。彼の手の動きから次の音を予測するのも、また、スリリングだった。

前回97年時には、弓をスウェーしながら聴いていたのだった。今回は、演奏前に、バールさんと危険な客席だ、ヘルメットやゴーグルを装着しなければ駄目だ、などとふざけていたこともあってか、何と演奏中に、弓の先で胸をマッサージされてしまった。光栄至極である。

●参照
バール・フィリップスの映像『Live in Vienna』
齋藤徹+今井和雄『ORBIT ZERO』、バール・フィリップス+今井和雄『プレイエム・アズ・ゼイ・フォール』
リー・コニッツ+今井和雄『無伴奏ライヴ・イン・ヨコハマ』、バール・フィリップス+今井和雄『プレイエム・アズ・ゼイ・フォール』
歌舞伎町ナルシスでのバール・フィリップス