Sightsong

自縄自縛日記

マイケル・フォスター+ベン・ベネット『In It』

2018-05-10 16:37:14 | アヴァンギャルド・ジャズ

マイケル・フォスター+ベン・ベネット『In It』(Astral Spirits/Monofonus Press、2016年)を聴く。

Ben Bennett (ds, perc, membranophones)
Michael Foster (ts, ss, aerophones)

サックスとドラムスとのデュオ、しかもかなり苛烈なもの。ふと高木元輝と富樫雅彦とのデュオを思い出したりもするが、ここにはそのような一途さや情念などはない。もちろんすかしていたりテクに走ったりしているわけではない。

マイケル・フォスターはその幅広さが面白い。ほとんど枯れ木が朽ちたり、重い木の扉が閉められたりするような、ただごとでない軋みである。『While We Still Have Bodies』でのプレイとはまったく違う。マッツ・グスタフソンがミシャ・メンゲルベルクと共演した『Live in Holland』(1997年)ではじめてマッツのことを知り驚いたときの感覚が蘇ってきた。

●マイケル・フォスター
「JazzTokyo」のNY特集(2017/4/1)(マイケル・フォスター+リチャード・カマーマンの「The New York Review of Cocksucking」)
『While We Still Have Bodies』(2016年)
「JazzTokyo」のNY特集(2016/5/1)(マイケル・フォスター+レイラ・ボルドレイユ『The Caustic Ballads』)
While We Still Have Bodies@Children's Magical Garden(2015年)


テイラー・ホー・バイナム+マーク・ドレッサー『THB Bootlegs Volume 4: Duo with Mark Dresser』

2018-05-10 11:32:09 | アヴァンギャルド・ジャズ

テイラー・ホー・バイナム+マーク・ドレッサー『THB Bootlegs Volume 4: Duo with Mark Dresser』(THB Music、2014年)を聴く。

Taylor Ho Bynum (cor)
Mark Dresser (b)

テイラー・ホー・バイナムのコルネットは、ミニマルというのとも違う気がするが、華美なものがなく、どや顔での吹きまくりもなく、常に発話というプロセス自体がクローズアップされているようなものである。従って対話空間における演奏も聴き所が多い。

ここではマーク・ドレッサーとのデュオ。かれのコントラバスにもまた中庸の素晴らしさがある。その結果、バイナムとの対話は肩肘張らずふわっとした境界内でのふたりの自然な佇まいが形となっているように思える。滋味があってとても気持ちが良い。

●テイラー・ホー・バイナム
トマ・フジワラ『Triple Double』(2017年)
『Illegal Crowns』(2014年)
アンソニー・ブラクストン『Ao Vivo Jazz Na Fabrica』(2014年)
Book of Three 『Continuum (2012)』(2012年)
ザ・コンバージェンス・カルテット『Slow and Steady』(2011年)
アンソニー・ブラクストンとテイラー・ホー・バイナムのデュオの映像『Duo (Amherst) 2010』(2010年)
アンソニー・ブラクストン『Trio (Victoriaville) 2007』、『Quartet (Mestre) 2008』(2007、08年)

●マーク・ドレッサー
マーク・ドレッサー7@The Stone(2017年)
マーク・ドレッサー7『Sedimental You』(2015-16年)
マーク・ドレッサー『Unveil』、『Nourishments』(2003-04年、-2013年)
『苦悩の人々』再演
(2011年)
クリスペル+ドレッサー+ヘミングウェイ『Play Braxton』(2010年)
スティーヴ・リーマン『Interface』(2003年)
藤井郷子『Kitsune-Bi』、『Bell The Cat!』(1998年、2001年)
ジェリー・ヘミングウェイ『Down to the Wire』(1991年)
ジョン・ゾーン『Spy vs. Spy』(1988年)


ベン・ラマー・ゲイ『Downtown Castles Can Never Block The Sun』

2018-05-10 09:51:45 | アヴァンギャルド・ジャズ

ベン・ラマー・ゲイ『Downtown Castles Can Never Block The Sun』International Anthem Recording Company、-2018年)を聴く。

Ben LaMar Gay (cor, syn, voice, fl, etc.)
Some Yoga Teacher (banjo) (tracks: 5 & 6)
Rob Frye (bcl, fl) (tracks: 1, 2, 3, 7 & 8)
Tommaso Moretti (ds, fl) (tracks: 10, 11, 14 & 15)
Will Faber (g, syn, fl) (tracks: 14 & 15)
Ed Bornstein (performer) (tracks: 13)
Polyphonic (syn, drum programming) (tracks: 5 & 6)
Jayve Montgomery (ts) (tracks: 1, 2, 3, 7 & 8)
Joshua Sirotiak (tuba, fl) (tracks: 14 & 15)
Hanna Brock (viola, voice) (tracks: 1, 2, 3, 7 & 8)
M'rald Calhoun (vln) (tracks: 5 & 6)
Gira Dahnee (voice) (tracks: 1, 2, 3, 7 & 8)
Zuzu Fé (voice) (tracks: 1, 2, 3, 7 & 8)

もともとシカゴ生まれで、ジェフ・パーカーやジョシュア・エイブラムスらシカゴの面々とジャズ的な活動をしていた人である。傑作、ジェイミー・ブランチ『Fly or Die』にもコルネットのオーバーダブで少し参加している。

しかしそれと本盤のサウンドとはまたずいぶん距離がある。ジャズも、人いきれがするような空間でのアンビエントな音も、賑々しい勢いも、ポエトリー・リーディングも、クラブのビートも、少し猟奇的な雰囲気もある。現代音楽的なアプローチもある。ベン・ラマー・ゲイ自身のコルネットも聴ける。

それが曲ごとに工夫を凝らして詰められている。聴けば聴くほど麻薬的になっていく。傑作。

●ベン・ラマー・ゲイ
ジェイミー・ブランチ『Fly or Die』(-2017年)