Sightsong

自縄自縛日記

ブランドン・ロペス+クリス・コルサーノ+サム・ユルスマン『Holy, Holy』

2018-05-26 16:31:39 | アヴァンギャルド・ジャズ

ブランドン・ロペス+クリス・コルサーノ+サム・ユルスマン『Holy, Holy』(Tombed Vision Records、-2017年)を聴く。

Sam Yulsman (p)
Chris Corsano (ds)
Brandon Lopez (b)

形はオーソドックスなピアノトリオだが、ブランドン・ロペスのベースが際立って個性を発揮している。弓で弦をかちあげてでもいるのだろうか、あるいは強く弾いているというだけなのだろうか。アンバランスなほどに強靭な音のアーチが、かれの弓のひと弾きごとに作られ、トリオの演奏空間に放出される。

これを、クリス・コルサーノのカラフルで鋭いドラムスが見事に受け止めてみせている。

●ブランドン・ロペス
ブランドン・ロペス+ジェラルド・クリーヴァー+アンドリア・ニコデモ+マット・ネルソン『The Industry of Entropy』(-2018年)
「JazzTokyo」のNY特集(2017/2/1)

●クリス・コルサーノ
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy、スーパーデラックス(2017年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ@Candy(JazzTokyo)(2017年)
クリス・コルサーノ、石橋英子+ダーリン・グレイ@Lady Jane(2015年)
コルサーノ+クルボアジェ+ウーリー『Salt Talk』(2015年)
メテ・ラスムセン+ポール・フラハーティ+クリス・コルサーノ『Star-Spangled Voltage』(2014年)
アイスピック『Amaranth』(2014年)
エヴァン・パーカー+ジョン・エドワーズ+クリス・コルサーノ『The Hurrah』(2014年)
メテ・ラスムセン+クリス・コルサーノ『All the Ghosts at Once』(2013年)
ネイト・ウーリー『Seven Storey Mountain III and IV』(2011、13年)
ネイト・ウーリー+ウーゴ・アントゥネス+ジョルジュ・ケイジョ+マリオ・コスタ+クリス・コルサーノ『Purple Patio』(2012年)
ロドリゴ・アマド『This Is Our Language』(2012年)


石井美樹子『中世の食卓から』

2018-05-26 13:56:09 | ヨーロッパ

石井美樹子『中世の食卓から』(ちくま文庫、原著1991年)を読む。

軽いエッセイだが、中世ヨーロッパ人たちが何を食べていたのかについてあれこれと書いてあり、想像すると愉しい。

スパイスがいかに重要で高価なものだったか、とか(だからこそカネモチは使わなければいけなかった)。蜜にかわって砂糖が重用されて、そのために貴族が虫歯になることはステータスシンボルだった、とか。野菜なんて蔑視の対象だった、とか。かつてパリではみんな豚を飼っていて、それが禁止されて遠隔地から肉を運ばざるを得ず、鮮度が落ち、肉団子料理が発達した、とか。

それから、キリスト教の四旬節では肉を決して食べてはならず、その代わりに、ニシンばかり食べていてみんな見るのも嫌になった、とか。本書でもブリューゲル「謝肉祭と四旬節の喧嘩」について書かれているが、この絵の下の方で樽に乗って肉を喰らわんとしている人は、つまり、生命力というか食べ物への執念というか、そういうものを爆発させていたわけである。

そういえばニシンそばを食べたくなった。わたしはそんなにニシンを食べていないのでまだ嫌ではない。