Sightsong

自縄自縛日記

ジョシュア・エイブラムス『Music For Life Itself & The Interrupters』

2018-05-28 16:36:05 | アヴァンギャルド・ジャズ

ジョシュア・エイブラムス『Music For Life Itself & The Interrupters』(eremite records、2010、2013年)を聴く。

Life Itself:
Joshua Abrams (b, p, Rhodes, g, harmonium)
Rashida Black (harp)
Ben Boye (p, Pianet)
Ari Brown (ts)
Hamid Drake (ds)
Tony Herrera (tb)
Marquis Hill (tp)
James Sanders (vln, viola)
Joshua Sirotiak (tuba)

A Place Called Pluto:
Joshua Abrams (b, p)
Emmett Kelly(g)
Frank Rosaly (ds)

The Interrupters:
Joshua Abrams (b, MPC1000, p, Wurlitzer, ds, perc)
Jason Adasiewicz (vib)
David Boykin (bcl)
Nicole Mitchell (fl)
Jeff Parker (g)
Tomeka Reid (cello)

てっきりジョシュア・エイブラムスの作品であり大人数でもあるから、音響的なサウンドを追究したものかと思ったのだが、そうではなかった。43曲も収録されており、3種類のバンドによってショーケース的な音のクリップを撒き散らしている。

もちろんこのシカゴ勢のメンバーであり、聴き所は聴くたびに発見できる。アリ・ブラウンの深いサックスも良いし、デイヴィッド・ボイキンとニコール・ミッチェルとの音の重なりも良い。とはいえ音響的な要素は手を変えチラ見せされており、これにはエイブラムス自身のベースや他の楽器を使った引き出しの多さが効いている。通しで聴くとなんだか騙されたような気分になり、なかなか見事。

●ジョシュア・エイブラムス
レンピス/エイブラムス/ラー+ベイカー『Perihelion』(2015-16年)
ニコール・ミッチェル『Awakening』、『Aquarius』(2011-12年)
ジョシュア・エイブラムス『Represencing』、『Natural Information』(2008-13年)


井上荒野『ひどい感じ―父・井上光晴』

2018-05-28 16:13:57 | 思想・文学

井上荒野『ひどい感じ―父・井上光晴』(講談社文庫、原著2002年)を読む。

井上光晴が「ウソつきみっちゃん」だったことは、原一夫の映画『全身小説家』(1994年)で衝撃的にもユーモラスにもばらされてしまい有名になっている。

本書は、娘が見た「ウソつきみっちゃん」の姿だが、なるほど、変人だったんだなと思わせられる。それと同時に、困った人たる父親を愛情を持って回想し、自分自身にも小説家としての影響があることを認めている。業みたいなものだったんだろうな。

短いけれど、じわじわくる。いいエッセイ。

●井上光晴
井上光晴『西海原子力発電所/輸送』
井上光晴『明日』と黒木和雄『TOMORROW 明日』
井上光晴『他国の死』


本橋信宏『新橋アンダーグラウンド』

2018-05-28 15:36:36 | 関東

本橋信宏『新橋アンダーグラウンド』(駒草出版、2017年)を読む。

新橋という街の形成史や現在の裏の世界のルポなのかと思ったのだが、そうでもない。どちらかと言えば著者の自分語りであり、そんなことわざわざ書かんでもと密かにツッコミを入れつつも、なんだか妙に面白くてあっという間に読了してしまった。

まあ街なんて体系的に見ている人がいるでもなし、誰もが必死に生きていきながら身を置くようなものであり、このような見せ方が正しいのかもしれない。特に新橋のように個人の欲望を吸い込み続けてきた街はそうである。

それにしても、新橋のナポリタンが、勤め人のシャツに飛ばないよう粘っこく作られているなんて初めて聞いた説である。スタジオジブリの鈴木敏夫が「アサヒ芸能」出身であり、同誌は徳間書店の保守本流なんてやはり初めて知った。また、中丸明がかつてはやはり「アサヒ芸能」の伝説的記者であったことも初めて知った。たしかに人間は清濁というより濁濁としたものである。

まずは再開発が予定されているニュー新橋ビルを、あらためて探検しなければ。