1980年代前半から連載された作品のアニメーション版は1988年に制作された。その4Kリマスター版がなされ、円盤発売だけでなく劇場でも再公開されたので観に行った。
原作自体、「大友以前、大友以後」と謳われるほど従来のマンガと一線を画す手法、技法が斬新だったのは覚えている。アニメ界のデジタル化前夜に作られた本作が、最新技術で再び世に出たのが昨年、まさに作品の舞台となった2019年。
内容とクオリティのどちらについて語ったら良いのか。やはり画とくに背景のことかな。緻密な背景の書き込みは原作より幾分略されている気がするが、それでも凄い。これCGじゃないセル画なんだよね?そしてアニメーションらしく、光の展開がすさまじく美しい。冒頭シーンでは舞台「ネオ東京」の夜景と、バイクのテールランプの光跡が印象的。
ストーリーは煎じ詰めれば科学の暴走と人間の尊厳、中心となる少年(ポスターの人物、ちなみに彼はタイトルの「AKIRA」ではない)が敵対暴走族を金属棒でバイクから殴り落とすような凶暴な仕業をするのに陰がなく軽薄なのは実在感に乏しく、暴走豹変する彼の仲間の少年の方がよほどリアリティに富む。それにしても核爆発、ビル崩落、東京オリンピックと、「30年前に今日を予言していた」と言われるのも道理なストーリー展開。幸いにも現実の東京は、本作のネオ東京ほど荒んだ街にはなっていないように思える。
30年前の作品ではあるが、テーマは普遍的であり、画質音響は現在のレベルであり、充分に今どきの鑑賞に堪えうる佳作と言うより、今こそ様々な想いを持ちつつ観るべき作品なのではないかと思った。やはり大友克弘は凄かった。
2020年6月13日 TOHOシネマズ川崎にて
原作自体、「大友以前、大友以後」と謳われるほど従来のマンガと一線を画す手法、技法が斬新だったのは覚えている。アニメ界のデジタル化前夜に作られた本作が、最新技術で再び世に出たのが昨年、まさに作品の舞台となった2019年。
内容とクオリティのどちらについて語ったら良いのか。やはり画とくに背景のことかな。緻密な背景の書き込みは原作より幾分略されている気がするが、それでも凄い。これCGじゃないセル画なんだよね?そしてアニメーションらしく、光の展開がすさまじく美しい。冒頭シーンでは舞台「ネオ東京」の夜景と、バイクのテールランプの光跡が印象的。
ストーリーは煎じ詰めれば科学の暴走と人間の尊厳、中心となる少年(ポスターの人物、ちなみに彼はタイトルの「AKIRA」ではない)が敵対暴走族を金属棒でバイクから殴り落とすような凶暴な仕業をするのに陰がなく軽薄なのは実在感に乏しく、暴走豹変する彼の仲間の少年の方がよほどリアリティに富む。それにしても核爆発、ビル崩落、東京オリンピックと、「30年前に今日を予言していた」と言われるのも道理なストーリー展開。幸いにも現実の東京は、本作のネオ東京ほど荒んだ街にはなっていないように思える。
30年前の作品ではあるが、テーマは普遍的であり、画質音響は現在のレベルであり、充分に今どきの鑑賞に堪えうる佳作と言うより、今こそ様々な想いを持ちつつ観るべき作品なのではないかと思った。やはり大友克弘は凄かった。
2020年6月13日 TOHOシネマズ川崎にて