日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
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【本】増田俊也著 「なぜ木村政彦は力道山を殺さなかったか」(上・下) (新潮文庫)

2020-07-27 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 リアルにその時代を生きていなくても、力道山を知っている人間は多い。だが一方で木村政彦についてはどうだろう。少なくとも自分は知らなかった。

 本書は、おそらく力道山より遥かに(柔道でなく)格闘技の実力はありながら、僅か1回のハプニングに近い敗戦から遡り、講道館の牛耳る日本柔道史からほとんど抹殺されている木村政彦という柔術家の生涯を描いている。

 周到な資料精査と関係者へのインタビューによって分厚い文庫本2冊にぎっしり書かれた木村の練習量も、その実力も、凄まじいものであったことが理解できる。が、全編を通じそれ以上に伝わってくるのは、著者の偏愛とも言うべき木村への入れ込みようである。何がそこまで著者を駆り立てたのか。恩人でも縁者でもない人間が、いち柔術家の名誉回復のため全身全霊を捧げたと言えそうな「執念の書」は、内容よりむしろその著述姿勢が鬼気迫るものに感じられた。

 本書によれば力道山は、どうやら出自や無名時代の不遇の反動で、著名になってからも品性卑しく嫌われ者(ただし取り入った年配者には可愛がられた)であったように書かれている。そういう下衆にしてやられたからこそ、木村は哀しかった。ちょっと父親に、木村のことを知っているか尋ねてみようと思う。

 2020年7月8日 自宅にて読了
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【本】吉田正仁著 「リヤカー引いてアフリカ縦断」(小学館クリエイティブ)

2020-07-27 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 世界一周、4万キロをリヤカー牽いて歩いた男の2冊目の著書。図書館で旅の本特集をしており、展示されていた中にあったので借りてみた。
 今度はアフリカ縦断である。砂漠だし治安悪いし気候は苛烈だし、距離は短くてもこっちの方が難易度高くね?通ったルートはエジプトを皮切りに東海岸より。途中から内陸に入り、南アフリカの喜望峰がゴール。
 前回は旅慣れていないが故のトラブルや失敗、驚きや喜びが綴られていたが、本書ではすっかりベテランと化した著者でも手こずるさまざまな試練が興味深く一気に読み終えた。昨年出張で行った国も含まれており、風景描写にああそんな感じだったなあと共感したり。
 こういう旅をしていると人が好きになるのか、人が好きだからこういう旅を続けられるのか。自分には無理そうだ。

 2020年7月9日 自宅にて読了
コメント (2)
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