日々のつれづれ(5代目)

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【本】鶴蒔靖夫著 「バス旅女子が選ぶ 日本でいちばんバス会社らしくないバス会社」(IN通信社)

2020-09-02 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 VIPライナーを運行する平成エンタープライズの紹介本に続編が出ていたので続けて読んでみた。発行は2018年、前回から7年半が経過している。続編と言うより改訂版と言うべきだ。2011年に東日本大震災があり、2012年には関越自動車道で高速ツアーバスの居眠り運転事故という大惨事があり、さすがの国交省も腰を上げて法律が大きく変わり、高速バスは一本化された。2016年にはバスタ新宿がオープンし、西新宿の高架あたりにバスがたむろしていた光景は過去のものとなった。その間にVIPライナーは、平成エンタープライズはどう変わったか。

 変らないのは著者のヨイショぶり、調べてみるとラジオのパーソナリティもやっていて著作はやたら多いが、ラジオのゲストである経営者(とその会社)を扱った本が殆ど、そういうスタイルで生きてこられたのだろう。本書のタイトルには異議あり、「バス旅女子が選ぶ」ならそういう女性が書けよ!でなければせめて、そういう層にきちんとアンケートを取って具体的な支持ぶりを明示しろよ!出ている数字は同社利用客に占める女性客の割合のみで、年齢層は出ていない。ましてや路線における市場占有率なども出ていない。裏づけのない主張はイメージでしかない。

 正確には読み比べていないが、前著からそっくりコピってきた部分もありそう。だがそんなものだろう。会社の歴史なんて書き換えることできないし。やはり読んで興味深いのは、前著からの7年の間に追加されたサービスや事業だ。VIPと言う名前が示す通り高級路線がウリだった高速バスにも横4席車、しかもスタンダードシート車が存在するようになった。初志との乖離をどう説明する?社長が発想したように書いているバックシェルシートなど、航空機では10年も前に登場している。褒めるなら発想ではなくバスへの装着を実現した点だ。海外の業者にシートを造らせる事でコストダウン、では安全や難燃基準クリアの苦労はどうだった?

 社長に恨みはないが著者への不満は多い。とは言えVIPライナーの公式サイトを見ると少々見づらいがコンテンツ盛り沢山、中でもバスの仕様について詳細に説明してある点は同業者の中で一番優れているのはないか、ヨイショするならそういう点だ。更新頻度は多くないが「ネコ社長」のマンガも一度は読んだらいい。ちなみに自分は最近どんどん旅行コストを切り詰めているので、高速バスの選択は(車両目当ての乗車でない限り)まずスケジュール、次にシートとコストのバランス。どこの会社だから乗る(乗らない)と言う判断をすることは少なくなっている。

 2020年8月19日 自宅にて読了
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【本】鶴蒔靖夫著 「バス会社社長の脱常識論 旧態依然の業界に次世代の風」(IN通信社)

2020-09-02 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 VIPライナーと言う高速バスを走らせている会社、平成エンタープライズの…と言うよりは同社を率いる社長のヨイショ本。あららバッサリ斬っちゃったよ。

 同社の事業の中で一番知名度が高そう、そして自分が利用した経験もあるのがVIPライナー。ちなみに高速バスの会社(ブランド)でJRおよび電鉄系を除けば、知名度が高いのはWILLER、JAMJAMライナー、オリオン、さくらあたりではないだろうか。VIPはそれらの会社に比べると路線が限られる(その一方で便数は多く、限られた路線に資源を集中していると言える)ため、知名度は当該区間の利用者に限られるかもしれない。

 本書は、高速バスを中心とした同社の歴史とユニークな点をいろいろ紹介しているため、会社案内には良いかもしれない。気に入らない点は2つ。1つは全てが社長の手柄として書かれていること。これでは他の社員はワンマン社長に着いて行くだけの無能ではないか。もう1つは失敗談がないこと。書きぶりは自慢でなく褒めそやしだが、そんな中にもトライ&エラーがあるはず。イイ話ばかりだと客は白ける、少しは落とさなくちゃ。

 本書は2010年に書かれたもの。その時点でいわゆる高速バスは「高速路線バス」と「ツアーバス」に分かれていた。もちろんバスタ新宿もなく、ツアーバスはそこらの路上に停めまくりで苦情続出だったし、雲助ドラ、過労運転も少なからず見られた時代。だからこそサービス品質で他社に差をつけた成功談なのだが、環境が大きく変わった現在はどうだろうか。本書を読んで公式サイトを調べてみたが、本書に紹介されていたバスの種類やシートは健在。バスは車両が入れ替わっているだろうがシートは陳腐化していないのかな。乗って確かめたくなるあたり、まんまと著者に釣られた感がある。

 2020年8月18日 自宅にて読了
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