「さまよえる湖」を読み始めてから2年かかったろうか、ようやく「シルクロード三部作」を読み終えることができた。
本作は時系列に従えば「三部作」でも最初に読まれるべき作品か?確かに終章近くで物語は「さまよえる湖」に続く、とある。だがあちらは、この一連の自動車旅行以前の、最初のヘディンのシルクロード探検行が書かれている。即ち三作がきちんとシリアルに繋がっているわけではなく、かと言って完全にパラレルなわけでもない。読者の関心や人気に応じるためこのような構成になったのだろう。
自動車旅行の出発から帰還までが綴られた本作は、いちばん旅物語の雰囲気がする。100年も前の中国、新疆、モンゴル、チベットを自動車で旅することの困難さ、あまりにそこら一帯の人種とかけ離れた風貌はむしろ有利に働いたか?地図帳を横に置き、作中に出てくる地名を探しながら読んだ。
物理的な困難さ(悪路や自動車の故障)を乗り越えてゆくバイタリティにも寒心するが(この時ヘデインは既に齢70近い)、それ以上に感心するのはコロコロ変る現地の治安情勢を見極め、時には権力者と交渉で渡り合う胆力(単にベテランだからと言うだけでは生き残れなかった筈)、長期間に渡りメンバーを統率したリーダーシップ。
手放しで賞賛できるに越したことはないが、やはりこの「冒険」には政治的なウラ(と言うか支援条件みたいな取引)があったようで、そこら辺は三部作いずれにも一切書かれていない。せっかくの大冒険なので、別の作品でその背景などを探ってみたくなる。いかなるウラがあったにせよ、ヘディン一行が長大な自動車旅行を成し遂げた事実に偽りはなく、その価値が下落することはない。
2020年9月1日 自宅にて読了
本作は時系列に従えば「三部作」でも最初に読まれるべき作品か?確かに終章近くで物語は「さまよえる湖」に続く、とある。だがあちらは、この一連の自動車旅行以前の、最初のヘディンのシルクロード探検行が書かれている。即ち三作がきちんとシリアルに繋がっているわけではなく、かと言って完全にパラレルなわけでもない。読者の関心や人気に応じるためこのような構成になったのだろう。
自動車旅行の出発から帰還までが綴られた本作は、いちばん旅物語の雰囲気がする。100年も前の中国、新疆、モンゴル、チベットを自動車で旅することの困難さ、あまりにそこら一帯の人種とかけ離れた風貌はむしろ有利に働いたか?地図帳を横に置き、作中に出てくる地名を探しながら読んだ。
物理的な困難さ(悪路や自動車の故障)を乗り越えてゆくバイタリティにも寒心するが(この時ヘデインは既に齢70近い)、それ以上に感心するのはコロコロ変る現地の治安情勢を見極め、時には権力者と交渉で渡り合う胆力(単にベテランだからと言うだけでは生き残れなかった筈)、長期間に渡りメンバーを統率したリーダーシップ。
手放しで賞賛できるに越したことはないが、やはりこの「冒険」には政治的なウラ(と言うか支援条件みたいな取引)があったようで、そこら辺は三部作いずれにも一切書かれていない。せっかくの大冒険なので、別の作品でその背景などを探ってみたくなる。いかなるウラがあったにせよ、ヘディン一行が長大な自動車旅行を成し遂げた事実に偽りはなく、その価値が下落することはない。
2020年9月1日 自宅にて読了