日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
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【本】橋本愛喜著 「トラックドライバーにも言わせて」(新潮新書)

2023-06-05 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 自身も家業でトラックの運転経験を持つ著者が、昨今のトラック&トラッカー批判への「抗弁」をした書。女性トラッカーならではの視点も含む。

 さまざまな「批判」に対し一つずつ、トラックの挙動やドライバーの視点から見えること、それに加え、荷主に物申したいコトなど色々と書かれている。SA等でトラックドライバーにインタビューし得られた意見も拾っている。

 本書を読んで「それはどうかな」と思う点はなかった。強いて言えば本書に定義しているトラックが平ボディもしくは箱車に限られ(トレーラーに関しては少し触れられている)、地場を走るダンプについての記載がなかったこと。車種ではなく、その運行形態やドライバー気質が大きく違うであろうから、本書がトラック/トラッカーの全体が表現されていると思ってはいけない。

 著者は全面的にトラッカー正しいと主張しているわけではなく、一方でトラックドライバーも是正が必要と、ゴミ(コンビニ袋)の投げ捨てなどについて述べている。ホントにこれ、何とかして欲しい。搬入待機場所付近の路肩とか、何であんなに捨てられるのか。動画でカンバンごと撮ってネットに晒してやりたいものだ。

 本書に書かれた問題の多くはトラックの車両構造やドライバーの運転方法より、荷主の指示方法や物理的条件によって改善が図れることが多いように思う。それが回って消費者に転嫁されようと(例えば通販送料の有償化・値上げ)、受け入れるべきなのではないかと思う。それと、免許更新の際に大型車目線の体験をさせてはと言う著者の意見には大賛成だ。

 2023年5月8日 自宅にて読了
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【映画】AIR [字幕]

2023-06-05 13:00:00 | 本・映画・展覧会
 一世を風靡したNIKEのAIRシリーズ。個人的にはウルトラメジャーブランドって嫌いなので、「それがどうしたの、何が嬉しいの」って斜に構えてみている。履けば解るのかもしれないけどね。過去に履いた印象ではReebokかNew Balanceが好きなのだけど、それとてメジャーブランド、NIKEと変わらないだろと言われれば返す言葉はございません。でもとにかく、NIKEは嫌いなのだ、トヨタ同様に。

 本作は世界的ヒットとなり、ナイキ社の飛躍的発展の立役者となったAIRシリーズの誕生秘話。細部の脚色はあろうが、実話だそうだ。へぇ、ジョーダンって元々はナイキ嫌いなほどだったんだ…

 本作にも登場するナイキ本社はオレゴン州ビーバートンにある。ポートランド郊外で、フライトスクールに通った頃は頻繁に通った町。訓練していた空港からはナイキ社のコーポレートジェットが飛んでいたと記憶している。作中、ビーバートンやMt.フッドと言った懐かしい地名や光景が出てきて嬉しかった。作中と言えば本作は'84頃の話、作中登場するオフィスや街並みの様子、テレビやパソコンや電話など、当時モノの映像と音楽はそれだけでも楽しい。NBAのレジェンドたちのプレーも含まれるので、ファンは観たら楽しめると思う。

 そして登場人物たちの仕事ぶり。汚い言葉を挟みながらの罵りあいから一転して冷静に会話するアップダウンの激しさは、日本の比ではない。それでも通常部分で7割、激論部分で5割くらいは聴き取れたろうか。やはり字幕がないとダメだ。他社の提案内容や提示金額の予想、駆け引きはスリリングに見えた。

 本作を観たからナイキやAIRシリーズのファンになったと言うことはないが、映画として予想以上に楽しめた。終映間際、観に行って良かった。

 2023年5月8日 川崎・チネチッタにて
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【本】上原善広著 「日本の路地を旅する」(文春文庫)

2023-06-05 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 「路地もの」を中心に活躍する著者の代表作(なのだと、後でwikipediaを読んで知った)。ちなみに路地とは故中上健次が使った言葉で、一般的に想起する小道細道のことではなく、被差別部落を指す。

 本書は日本各地の路地を訪ね、そこに住む人の話を聞き書きしたもの。それだけなら調査記録だが、そこから全国ネットとも言える屠殺や食肉業、皮加工業と言った技術的伝搬を引き出すだけでなく、己のルーツ探しも行う重層的展開となり深みがある。

 本書はつまるところ、著者のルーツ探しのロードムービーに読めた。そういうところが、本書の評価された由縁ではないのか。ところで、ここまで路地ものを読んだら、「元祖」たる中上健次も読むべきではなかろうかと思えてきた。

 2023年5月7日 自宅にて読了
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