ひょっとして、貧困ビジネスって言葉を創造した或いは世に知らしめたのは本書なのではないか。15年ほど前に、社会の暗部をつまびらかにした本。
ゼロゼロ物件、リセット屋、格安アパートなど、貧困層を(グレーゾーンで)食い物にする手口をよくまあ考え付くものだと思う。そんな甘言に乗る貧困層を批判するのは容易いが、危ない怪しいと判っていても縋るしかない生活苦よ。こんな社会に誰がした。ただし、本書に登場する「被害者」すべてが気の毒とは思わない。どこか甘さのあった人も、いないわけではないと思う。こう書くと「結局は自己責任論者かよ」と思われるだろうが、たぶんそうなのだ。
無職(ほぼ)無収入となった今、健康を害したり詐欺に引っ掛かったりすれば自分もこうした人々の仲間入りする可能性は高い。気を付けたい。
2023年9月7日 タイ・バンコクのホテルにて読了