日々のつれづれ(5代目)

旅行レポート以外の、細々としたこと。
割とまめに書くようにしています。
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【映画】エンドロールのつづき(字幕)

2023-02-21 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 先週に続いてインド映画だが、こちらは上映時間が短く、出演者がいきなり大勢で踊り始めたりしない。以前観た「めぐり逢わせのお弁当」(2013)を思い出させる、情感ある作品だった。

 田舎町に住む9歳の少年が、家族で出かけた映画に心奪われ、いつかは自分で映画を作ってみたいと思い始める。学校をサボって映画館に潜り込んでつまみ出されたり、母親の心づくしの弁当を映写技師に差し出す代わりに映写室に入れて貰って小窓から鑑賞したり。しまいには、各地に配給中のフィルムを駅の荷物室からくすね、友達と苦労して作った手作りの映写機で再生し、自分たちで音を奏で「再生」してしまう。英語が話せず、没落して駅でしがないチャイ売りをする父親は息子の映画好きを頑なに否定していたが、あまりに夢中な様子に遂に折れ、離れた町に住む知り合いの所で勉強するよう、息子を送り出す…物語はここまで。ラストシーンに世界の映画人の名前が次々と現れ、日本人では勅使河原宏、小津(安二郎)そして黒澤明の名があった。製作者によるオマージュだろう。
 
 フィルムと映写機による昔ながらの上映は、デジタルシステムによる上映にリプレースされ、映写技師は職を失う。不要になった映写機と膨大なフィルムがどう処分されるかも時間を掛けて描かれ、哀惜と共に(リサイクルされることで)再生への希望も見える。何しろ主人公の男の子が芸達者。彫りが深い顔は妙に大人っぽく見える瞬間もあるほか、大人への反発や上手く行かなかったときの無念そうな表情、諦めの感情などが伝わってくるのに驚かされた。

 本作で良く登場するのが鉄道、行った人なら分かる赤茶色の薄汚い客車。窓に鉄格子がつけられ、やたら車体幅が広い。主人公たちが住むチャララ(CHALALA)を調べてみたらインドの北部西側、グジャラート州の町で、列車は1日3往復6本だった。

 先週の「RRR」とは対照的に非常に生活感の強い作品であり、その光景を見ているだけで刺激的だった。本作は一生を映画に捧げた人の「立志編」と言うわけで、その気になれば続編が作れそうだが、どうだろうか。蛇足になっちゃうかな。

 2023年2月5日 川崎・チネチッタにて
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【本】橋本卓典著 「捨てられる銀行〔1〕」(講談社現代新書)

2023-02-21 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 4冊刊行されたシリーズの第一作。タイトルの通りで、本来あるべき姿から離れ、その存在意義を問われる金融機関(銀行)について厳しい指摘の書。1巻は単なる金貸しとなり地域産業育成を忘れた地方の金融機関の姿勢を指摘する。一方で、数字や書類だけでなく現場を見ることで融資を決定し、地域の中小企業と歩み続ける「成功例」も紹介。

 財務省の過剰な指導が悪いのか、各金融機関のトップが無能なのか。2巻以降も、同じ疑問を抱くのだろう。

 2023年2月4日 自宅にて読了

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【本】安田峰俊著 「和僑-農民、やくざ、風俗嬢。中国の夕闇に住む日本人-」(角川書店)

2023-02-20 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 まず「和僑」とは、「爆風スランプ」メンバーのファンキー末吉氏による造語らしいと、本書の巻頭で知った。へー。定義として海外で商売を営む人に限らず、その土地に根付いて暮らしてゆく人、みたいな。なるほど。ただし移民ほど固定化した存在とは限らず、長期滞在(滞留)者も含まれるらしい。なるほど。そして、旅行者やロングステイ者などは含まれないらしい。なるほど。

 本書に登場する数人の日本人は、本当にユニーク。国内でヘタ打って高跳びした商売人やヤクザではなく、現地人と結婚した人、海外へ出稼ぎ売春する女性、頼まれてやむなく海外で「日本人を守る」ヤクザ組織を作った人。理由も環境も、人それぞれ。たくましく生きている。自分には絶対に真似できないし、真似したいとも思わない。興味深くはあるけど、それは自分に関係ない世界の話だから。

 一般的に見れば、おかしな人生に見える。でも誰が否定できましょう。他人に迷惑をかけているわけではないのだから、間違ってもドロップアウトとは言えない。色々な伝手を辿り、苦労してそういう人々を現地に取材した著者もあっぱれである。

 2023年2月4日 自宅にて読了
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2023年2月3日 【ハイク】シリーズ川崎市を歩く・川崎区(その1)

2023-02-20 06:00:00 | 旅行・ハイク&ウォーク
 昨年末のバイク事故ですっかり運動不足になってしまったことから、ギプスが取れて片手吊りから解放され、動きやすくなった機会に「リハビリ企画」を始めた。

 ちょっと調べたら、我が街かわさきの各区には様々なウォーキングコースが設定されていることが判った(こちら)。今回、これらのコースを歩くことにした。目指すは全7区、全コース制覇だ。我が町再発見だし、あまり交通費が掛からないのも良い。

 まずは市役所のある川崎区。9つのコースが設定しており、2/3は連続したコース設定になっている。せっかくなんだから全部つなげれば良いのに…そこは自分で繋げて歩くか、公共交通機関で移動するか考えてゆこう。レッツウォーク!

【コース1:東海道川崎宿をたどろう(地図)】約3.9km
 昨年10月に「東海道川崎宿スタンプラリー2022秋」に参加した折に歩いたコースとほぼ同一ルートのため、新鮮味には欠けた。そうであろうことは予想していたが、コース1をパスするってのが個人的に受け入れ難く…ああ厄介な「つぶし気質」。なおマップでは京急川崎駅をスタート地点としているが、コース2へのつなぎを考慮し、ゴールの八丁畷駅まに赴きそこからスタート、コースを逆向きに歩いた。いったん多摩川の土手まで出て、川崎駅に引き返してくる部分を変えた方が飽きなくて良いのだが、設定が難しい。

【コース2:市役所通りを歩こう(地図)】約2.0km
 川崎駅前を少し遠回りする以外、市役所通りを南下するだけ。シンプルで面白味には欠けるが、初めて歩くなら川崎駅東口周辺の賑わいと、区の公共施設集中エリアを楽しめるかもしれない。ゴールは労働会館(サンピアン)前バス停。そのまま次コースが始まる。

【コース3:富士見公園(地図)】約3.0km
 大通りを歩いた前コースと対照的に、細めのバス通りや住宅街の中、そして名ばかりの商店街(伊勢町)を抜けてゆく。市内の銭湯めぐりの時に歩いた道も含まれていたが、初めて通る道もあり、医王寺などはすぐ傍らの道を走ることはあっても全く気付いていなかったので歩いて面白かった。終点は港町駅、ちょうどやってきた電車で京急川崎に戻った。

 写真はコース1の終点近く・京急大師線の途中にある、六郷橋駅(二代目)跡。ここだけ、コンクリートの擁壁がないのと、地面から立ち上がる部分がコンクリでなく石組みなので判別できる。離れた位置から見ると、僅か1両分程度しかない。大正15~昭和24年に営業したそうである。

本日の歩行距離:約8.9km
通算の歩行距離:約8.9km
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【本】宇沢弘文著 「社会的共通資本」(岩波新書)

2023-02-17 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 そもそも「社会的共通資本」とは何か。知らなくて構わない、本書の冒頭に定義がある。【ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を安定的に維持する―このことを可能にする社会的装置が「社会的共通資本」である。】共通資本と言うとインフラばかり連想してしまったが、もっと広義のものだと知った。農業(と言うか第一次産業)が含まれるし、教育や医療なども含まれる。

 そういう定義は良かったが、各章に入ると著者がどういう主張をしたいか、よく解らない。世界史的にそれぞれの分野がどう定義され、実際にどう動き、その結果どういう問題が生じたか。その過程はほぼ整理されているが、どうあるべきか、どうすべきかが解らない。当然ながら各々の分野における問題解決は簡単に書き表せるものではないだろうし、ただ一つしか道がないはずもない。それでも冒頭【】内前半の高邁な理想に向かっての展望まで書いてあって欲しかった。「まとめ」の章がないことが、そう思わせたのかもしれない。

 2023年2月3日 自宅にて読了
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2023年2月2日 【旅行】訪問ずみ国/地域を見直してみた

2023-02-17 06:00:00 | 旅行・ハイク&ウォーク
 今年は3年ぶりに海外へ出かけようと思っているが、気分を盛り上げるため「これまで自分がどれだけ行ってきたか」を見直してみた。以前使っていたサイトは無くなってしまったが、ほぼ同等のサイトに引き継がれているようで、そこを使った。訪問した国/地域をチェックするだけ。

 「visited 116 states (51.5%)」と出た。おお、半分を超えていたんだな。今年は新しい国に行くことは無さそうだが、来年はネパールやアゼルバイジャンあたりに行きたいものだ。
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2023年2月2日 【バイク】ギプス取れた

2023-02-16 20:00:00 | バイク・自転車
 右手親指骨折の手術から一か月、回復は順調なようで本日ギプスが取れた。カッター(マキタ製ではなかった笑)で2つ割りにして外すと、腕はさほどでもなかったが手の部分は薄皮がポロポロ剥がれる状態で汚らしい。残ねながら回復は期待ほどではなう、まだ完全にくっついていないとのこと。やはり年齢のためか。もう1,2週間、樹脂製の添え木を包帯で巻いておく。それにしても右手指のカサカサ具合よ。

 そして今日から、リハビリが始まった。ギプスで固定している間に動きの鈍くなった右手首と親指の曲げ伸ばし。残り4本の指は良く動く。手順は以下。
1)添え木を外す
2)40℃のお湯に5分漬けて温める
3)手首を手前に曲げる(10回)
4)手首を奥に10回反らす(10回)
5)親指の第2関節手前を軽く押さえ、曲げ伸ばし(10回)
6)添え木を着ける
これは朝昼晩の3回。慣れてきたら3)~5)を2セット、3セットと増やす。

 病院でのリハビリは以上だが、身体も動かさなければならない。長時間腕を吊ると手に痺れが来るため、痛みが無くなっても養生中は全く運動できなかった。引き籠りですっかり丸くなってしまった身体を、少しは絞らなければならない。「駅からハイキング」始め各種ウォーキングも復活させよう。

 ようやく新しい年の活動ができる、そんな気すらする病院の帰り道だった。あ、転倒から帰宅してそのままになっているバイクの各部チェックもしなくちゃ。
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2023年2月1日 【デジ物】プリンタ買い替え

2023-02-16 06:00:00 | PC&デジ物、ホームページ
 計画中の旅程をしっかり確認すべく、紙に印刷しようとしたらプリンタがガラガラと変な音を出し、エラーランプ点灯。電源オフオンを数回繰り返したが、回復しない。年賀状印刷に使っただけと言う新同品を頂いて使ってきたが、そろそろ限界か。スマホの買い替えで昨日行ったばかりの量販店に、今日も足を運んだ。

 選定基準かつ優先順位は、以下の通り。インクジェット方式とかUSB接続とかは一般的なので、言わずもがな。
1)A4サイズが両面印刷できること。表裏は手動で可。
2)現行の設置スペースに収まること。
3)価格、本体8,000円くらいまで、交換カートリッジ価格も気にしておく。
4)ボディカラー、できればこれまで通り黒が良い。

 ところが、世界中の半導体不足の影響らしく、量販店の在庫も品薄、廉価なインクジェットモデルは2週間~一か月近く待ち。しかもお目当ての格安モデルは取扱なしだと…仕方ないので、帰宅してネット通販で購入、こちらは即納だった。買ったのは現用モデルの後継機的存在と言える、キヤノン PIXUS(ピクサス) TS203
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【本】東松寛文著  「サラリーマン2.0 週末だけで世界一周」(河出書房新社)

2023-02-15 20:00:00 | 本・映画・展覧会
 もう少し早くこの人のWebサイトに出会っていたら、自分の旅も変わったのではないか…そう思っていた人に著書があったので借りてみた。広告代理店に勤務するサラリーマンである傍ら、けっこうな遠くまで弾丸旅行をしたり、ユニークなアクティビティに突撃してみたり。その内容よりも、時間の使い方に感心したのだ。

 本書はそういうスタイルで旅を繰り返している著者が、週末弾丸旅行を繰り返しながら三週間で「世界一周」したもの。東京→A→東京→B…と逆オープンジョー航空券の連続で旅をした模様。

 「世界一周」にチャレンジするまでの経緯にページが割かれ、肝心の部分の旅日記的なページが少ないこと、旅の準備や手配手段などについて、巻末にちょこっと注意事項など纏めてあるだけで具体的な情報が殆どなかったため、その点は期待外れだった。

 体力ある若いうちじゃないと、毎週の弾丸旅行は無理かもしれない。ただ、そっくり著者の真似をせずとも、週末を活用してちょっと旅するバイタリティ、現地コミュニティに飛び込むメンタリティは参考になると思う。印象的だったのは、「週末の旅行のため、仕事を時間までに仕上げるクセがつき、残業が減る一方で効率が上がり評価も上がった」との言。大いに思い当る節があった。

 2023年1月31日 自宅にて読了
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【映画】RRR

2023-02-15 06:00:00 | 本・映画・展覧会
 インドは暑苦しい。そういうイメージを持っていたが、冬場に行ってもやはりそう感じた。気温でなく人々だけで十分に暑苦しいのだ。魅力的な観光地はあれど、あの人の圧を思うと再訪には二の足を踏んでしまう。

 映画好きの知人が「必見」とコメントしていたのを思い出し、本作を観に行った。3時間の長尺、飽きないかよりトイレが心配。でも確か途中で休憩が入るんだよな…画面には確かに<INTERVAL>と出たのだが、何事もなかったように映像は続き、休憩はないのであった。幸い、尿意の危機は訪れなかった。

 インド映画と言うと無理やりなストーリー展開、意味もなく現れるダンスシーンと言うイメージを持っている。本作は見事にそのセオリーに当てはまっていた。王道と言おうか、細かいことを気にせず、CGによる超人アクションも「そんな動きできるわけねーだろ」なんて思うのはヤボ、シンプルにうわっと驚きおりゃっと気合を入れ、ダンスシーンが始まったらどんどん集団を巻き込んでくリズミカルな展開に身を委ねるに限る。

 本作の舞台はちょうど1世紀前の植民地時代、宗主国である英国人が徹底的に悪く描かれる。中国の抗日映画以上かもしれない。目的は違うが、絶対的権力と武力を持つ宗主国駐留軍に挑む二人の男、シンプルに手を組むのでなく、遠回りする。一時的には敵対すらする。それが最後には協力して仇敵を完膚なきまでにやっつける(偉いさんを殺しちゃうのだ)、きっとインドでは胸空く「忠臣蔵」的人気を博したに違いない。

 印英関係について考えさせられはしたが、なるほど痛快な大アクション映画で、評判なのも肯けるのだった。

 2023年1月31日 川崎・チネチッタにて
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